あらすじ
築40年超の下宿風アパートと、その大家さん、隣人、周りの人など、日常で出会った人々への著者の一方的な偏愛・執着を記録した日常エッセイ。
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Posted by ブクログ
能町さんの加寿子荘での暮らし。
私ではこう感じたりすることはないだろうなあと思うくらい、能町さんの、人や街やお店に対する感度はあたたかくて、どれも誰も愛おしい気持ちになります。
Posted by ブクログ
いや〜...いい本だなぁ〜...と、
手に取る度に思わずニヤついてしまう(^ ^;
まず表紙がいい。写真も装丁もいい。
帯もいいし、めくって出てくる
写真や間取りのイラストもいい。
おまけに(?)、中身も素晴らしい(^o^
この本は、作者がかつて暮らしていた
築40年オーバーのアパートでの生活を綴った
エッセイ、ということになるのだが。
作者の、この部屋に対する愛着が、
この部屋で営む生活への愛おしさが
溢れているのを感じられる。
しかも、決して押しつけがましくなく。
この人の書く文章は、とてもうつくしい。
書き言葉でなく話し言葉が基本だが、
言葉の選び方、ひらがなと漢字の使い分けなど
とても「読むことが心地よい」日本語。
絶対に「縦書きで読まねばならない」文だ。
と、私は思う。
古いアパートで、お風呂がなかったり、
あちこちガタがきてすきま風が寒かったり、
不動産屋的に考えれば快適とは言えない暮らし。
しかもお家賃は毎月、階下に住む大家さんに手渡し。
今どきの若い娘さんなら、端から選択肢に入るまい。
そんな部屋での暮らしを愛しながら、事情により
一年ちょっとで余所に引っ越してしまう筆者。
が、後にオーエルとなって同じアパートに帰ってくる。
オーエルをしながら、副業的に
何人かの「師匠」の手伝いや邪魔(?)をする日々。
街を歩いてお気に入りの店を見つけ、
週に一度コインランドリーに通う。
その同じ目線で、同じリズム同じ文体で、
さらりと性転換した顛末についても語る作者。
決して感情の振り幅が小さい人でもなかろうに、
「人に言えない大きな秘密」を抱えていると
他の大抵のことは許せてしまえるのだろうか。
あくまで淡々と、かわいた文体で日々を綴る。
が、その文体でつづられる日常の、
なんと慈愛に満ちていることか。
実は意外と大事件が起きているのに、
作者の筆を通すと「愛すべき日々」に見える。
他の人がこのアパートに暮らしても、
きっとこんなに素敵な日々は送れまい。
作者の言葉を借りると
「このあいだお友達に『家のこと語るとき、
のろけてるみたいだよね』といわれた。
至言である。」
一度一気に読み通してからも、
つい何度も手に取ってしまう本である。
最初から読まなくても、ぱっとページを開き
数行文章を追うだけで、この本の中に流れる
ゆったりとした時間にひたることができる。
いや〜、本当にいい本だなぁ...(^ ^
Posted by ブクログ
★★★★最近テレビで気になっていた能町さんのエッセイ(かな?自伝かな?)古いけれど大家さんがピカピカに磨き上げている昭和の匂いぷんぷんのアパートでの生活が綴られています。能町さんて、とても理性的で心の温かい人なんだろうな、という事が文章の端々からよくわかります。ご自身のお祖母様や周囲のお年寄りを見る目も優しくて、普通ならちょっと呆けているのでは?と思える言動も(失礼!)能町さんは「なんて可愛い!」と感じるのです。色んな悩みを抱えているのに基本的にいつも冷静でポジティブな目線で周りを見ている所が素敵だなぁ。
Posted by ブクログ
どこに住むか。
女性ならオートロックで二階以上でフローリング…て、考えかたも確かにある。
でも、この建物のここが好き!にもっと体重をおいてもいいはず。
金じゃなくてただ「愛せる場所だから」住むのはシンプルですてき。
酔っ払って帰る夜、一人でネットをいじる夜、なんだか調子が出ない昼、洗濯物を部屋干ししすぎて居心地悪い夕方、いつだって自分の部屋なのです。
自分の「好き」をもっと素直に見つめ直したくなる。
とかいうと、女性の自己啓発本みたいだけど、そんなのよりもっと上質なエッセイ。読んでいると気持ちよくて幸せ。
Posted by ブクログ
とにかく表紙の写真がステキ。
レトロで、とってもノスタルジック。
加寿子荘。とっても古いアパートだけど、大家さんがよくお掃除をしているようで、写真で見るととても清潔感があって、いい感じ。
能町さんの事ほとんど知らないけど、なかなか面白い本でした。
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お住まいの素敵さはもちろんなんだけど、生死に関わることを色々考えさせられた。
ちょうど今年は病院に通ったり身内の身体のことをすごく考えた1年だったから。
Posted by ブクログ
元々個人的な日記なわけだからそりゃそうだろうが、非常に個人的な日常の話。文体が結構独特。しかしやはりこの人は女性なんだな、という感じ。物事の感じ方とか、表現の仕方が。
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「ドリカム層とモテない系」を読んで、私の中の「女性エッセイ系を読みたいときにとっておこう」作家棚に入れていた能町みね子さん、だったのだけど。
この本を読み始めての最初の方でいきなり明かされる真実にびっくりする。いや、もうその手の本も出されていたので知らなかった自分が遅いというか、前情報なさすぎ。
タイトルから家にかかわるエッセイかと思ったら、むしろ仕事とか生活とかそういうことが絡んでいて、なんだかいろんな方向に話がいくしなぁと思いながら読み終わり、奥付手前に小さな字で「この作品は個人的な日記を再構成し…云々」と書かれているのを読んで腑に落ちる。
それ、表紙裏くらいに書いておいて欲しかった気もするなぁ。
作品自体はなんというか淡々としていて、でもほほえましくて、まぁなんだかいいねという1冊。
Posted by ブクログ
エッセイというほど作り上げられた文章ではなく、時折わかりにくいところが、「加寿子荘での日々」に似合っていると思う。
「日記をまとめたもの」とあるのを読んで、なるほどと思ったけれど、その説明がないと、ちょっと物足りなさを感じたと思う。
文章から感じる能町さんの人となりが好きなので、加寿子荘以外のエピソードも興味深く読んだけれど、もっと加寿子荘満載の一冊でもよかったなとも思う。
Posted by ブクログ
加寿子荘に住む能町さんの日記ふうエッセイ。40年前に建てられた加寿子荘は風呂なしトイレキッチン付、共同玄関のアパート。
加寿子荘の写真がときどき見られるのがいい感じ。能町さんは銭湯にいけない事情ができてしまい、一度は加寿子荘を出るのですが、加寿子荘の中で唯一風呂付の部屋が空室になったのを知り、また舞い戻ってくる。
みね子さん、心臓の具合、大丈夫ですか?自転車にも乗れないくらい苦しかったのに、なかなか原因がみつからず、つらい思いをしましたね。加寿子さんや他の入居者の方たちに向ける暖かい目にみね子さんの優しさを感じました。
Posted by ブクログ
好きだけど自分ではとても暮らせないだろうなぁと思う加寿子荘。
読んでいると疑似間借り体験しているような気持になる。
加寿子さん、会ってみたい。
加寿子荘(住めないけど)お邪魔してみたい。
Posted by ブクログ
とっても読みやすくあっという間に読み終わってしまった。「おかまだけどOLやってます」は笑える本で、こちらは日記というかもっと静かな生活雑記的な感じ。でもちゃんと構成されていてちゃんとした本の作り。ただ適当にたまったブログを本にしちゃいました的な本ではなかったです。
しかし、ああいう古いアパートともいえない、「荘」としか言えないような住居、あったなあ。現代で、実際に住んでいる人の話はなかなか知らないのでその部分だけでも(彼女の住まいに対する偏愛)十分興味深かった。
35年前の東京には、共同玄関の家に住んでいるクラスメイトがいたっけなあ。そういえばおばあちゃんちの裏側に集合住宅に続く廊下がついていて、そこの人たちがおばあちゃんちの黒電話を借りにきていたこととか、ふと思い出しました。子供には、おばあちゃんちの裏には暗い廊下がつながっていて、そっちには行っちゃいけなくて、だからそこにだれかが住んでいるとか、家主と店子の関係とかまったくわからなかったから、突然電話の用で現れる見知らぬ人が非常に怖かった記憶。
読書というのは、その内容を楽しむだけでなく、こうやってふと違う時間違う世界に心が飛んでいく体験をさせてくれるのだなと改めて思う。
Posted by ブクログ
著者が能町みね子さんってだけで、手に取った本。
悩んでいる雰囲気がほとんどなく、それでいて男性と女性の間を右往左往としている姿を、爽やかというかカラッと笑えるように書ける人は数少ない気がします。
読んでいて、ネチネチするような陰鬱感がない。
ちょっと楽しそう、とすら思うことも(笑)。
独身だったら、私も住まいを点々としたり、冒険賃貸してみたかったなぁと思わされました。
あ、でもGの付く虫のいない住まいがいいです。
大きいGはホントに苦手なんで…。