あらすじ
三月十一日、専業主婦の葉子は友人の結婚披露宴のため仙台にいたところ、地震に見舞われた。東京に戻れずホテルに滞在するうち、花嫁の行方不明、津波被害、原発問題など様々な情報を知る。少し気になるのは、東京にいる夫と連絡が取りづらいことだった――。ささやかな日常の中、「あの日」を迎えた全ての人に小さな力を贈る、感動の長篇小説。
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Posted by ブクログ
大学時代の友人の結婚式のため仙台市を訪れた主人公の女性。
その日は2011年3月11日。14時46分に東日本大震災が起きる…。
主人公は仙台で被災し、割れたガラスで足を負傷し病院に搬送される。
結婚をする予定の友人に連絡がつかず、何故か東京にいる夫とも連絡が取れない。
話は震災の渦中にある数人のエピソードがパラレルに展開する。
・高台にある中学校から母親を探しに家に戻った少年。
・被災して避難する際に母親を優先する夫に落胆しながらも津波から逃げる女性。
・認知症の父を追いかけて海辺に近づいた男性。
人それぞれに東日本大震災に見舞われた3月11日がある。家や車を捨て、命だけは…と祈り、様々な想いを抱えながら、その日を過ごし、心に永遠に刻まれる。
行方不明だった本来なら花嫁衣装を着るはずだった友人と、物語後半でようやく散々な思いの末に再会する…これはよかった、ホッとした。もしも結婚式の日に亡くなられていたら、こんな悲劇は無い。このシーンは泣けたなぁ。
自然は残酷だから、反省も償いももちろん無い。そして毎年春になれば桜が咲く。しかし亡くなられた人は戻らない…『運が悪かった』というだけで済ますには軽すぎるよね…。
散々な思いをして、やっと東京に帰ってきた主人公は、夫に離婚したい(浮気した女性と結婚したい)と告げられるが、震災で人生観が変わっておりそのまま受け入れるのだった…
災難や悲劇に見舞われても、人は明日に向けて歩みを続けていかなければならない。自分の人生は泣いても笑っても一度きりだから。ああ…生きていかなきゃと、あらためて気づくことができました。
Posted by ブクログ
311は東京で迎えたが、原発事故の後、小さな子供を持つ身としてある意味当事者だった。価値観も変わり仕事も変えた。ようやく落ち着いてあの災害を振り返ることができている。津波等直接的な被害に遭われた方々は、もっともっと傷が深いのだろう。祈る。
Posted by ブクログ
3月11日、地震のあった日に主婦葉子は友人の結婚式のために仙台に来ていた。みんな色んな事情があってあの日を迎える。そしてその後の話しも。さらっと読める長編小説。