あらすじ
「政治には何も期待できない」という国民の政治不信。そして経済の低成長、野党再編、地方・女性・非正規、沖縄・日米同盟など山積する難問。しかしこうした現状は、政治を甦らせる好機でもある。NHK「ニッポンのジレンマ」で注目を集めた、1980年生まれの気鋭の政治学者が「安倍政治」の急所を衝き、マンネリ化した「左」「右」双方に語りかける。「闘え左翼! 正しい戦場で」「共感せよ右翼! 寛容の精神で」と。
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Posted by ブクログ
テレビで見て著者に興味を持ち、読んでみた。テレビでの印象の通り、基本的には自民党政権を自明のものとし、そこに改善を提案するスタンス。
リベラルを自認するも立民党の力不足は明白でお話にならないといったところか。
内容は分かりやすく現状(2015当時まで)のおさらいに役立った。しかし、タイトルから期待した現状打開の提言についてはさほど感心するところはなかった。そこは物足りない。
内容メモ
ーー自分の感想
●著者の基調ーコンパッション(共感)
ーー著者の言わんとするところが今ひとつわからない。共感はいいとして、もうひとつ踏み込んで論じて欲しかった。というか、共感に熱がない。
●日本の二大政党制は
日本の社会福祉制度などはリベラルの努力の成果でなくほとんど保守政権の政策の都合から推進されたものである。
リベラルの政策はいつも自民党に取り込まれてきたからリベラルの存在意義を示すことが難しかった。
日本の政争は従来保守と保守のせめぎあい。経済利権vs統治利権だ。
ーー確かに自民党はずっと中道左派だったと思う。しかし安倍さんのもとで右翼思想が強く示され、グローバル化で状況も変わった。そろそろこの体制も終わるべき。リベラル弱すぎる。結局自民党を超える理想の高さすら示せていない
●リベラルとは
国民国家の枠組みで身を護るのが保守
国境を越えて世界の人に共感するのがリベラル
ーー日本のリベラルは内向きで世界で起こっていることに無関心では? 人権や平和を守るための軍事介入が行われているとき日本は国際協調すべきかなど他人事すぎて考えてないだろう
●集団的自衛権議論の泥仕合
安全保障論議を法律論に押し込めて議論する伝統
それぞれの勢力が勝利宣言するためにも、論点を字句解釈に矮小化する手法をとった。それこそ日本の政治的、知的伝統の積み上げであり、本質的でないことが本質的という複雑な状況
ーーこうして敵を殲滅することなく和をもってウヤムヤのうちに決着。和を尊ぶ美風のようであるが建設的な議論が展開されにくい。報道を見てるとイライラする。論点がずれているので、後に役立つ議論にならない
●闘え左翼 ただし正しい戦場で
いつまでも平和と憲法に拘泥すべきでない。
闘うべき論点は
非正規・女性・地方。
国民の4割が今や非正規労働者。
ーー非正規が4割もいるのか。(本書は2015年出版)
なんでこれを最大の争点にしないのか。最低賃金は1,500円から2,000円にすべきだしできることはたくさんあるだろう。リベラルならではの政策をアグレッシブに打ち出せばいいのに。