あらすじ
発売1カ月半で使用者15人が死亡したハートショットなどますます劇薬化する危険ドラッグ。これほどまでの害毒がなぜ蔓延しつづけるのか? 製造元、売人、麻取等への取材から、身近に迫る闇の実態を明らかにする。
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Posted by ブクログ
供給サイドの論理を基に危険ドラッグの全貌を明らかにしようというもの。危険ドラッグは単価が低く暴力団はほとんど参入していない。経営する者はたいてい全身が裏DVD屋、アダルトショップ、大人の玩具屋など、人種としては半グレかカタギ。儲かると思えば飛びつき、問題が起こればすぐに転業していくような場当たり的輩である。製造物責任への自覚はなく罪悪感も乏しい。恐れるのは前の製品より効かないことであって決して安全性ではない。加えてたいていの販売業者は責任を回避するため、その薬物が体内に摂取する物であるとは決して言わない。したがって一日当たり、一回当たりの用法や用量、摂取回数なども記されてはいない。警察や麻取の捜索を恐れるため、可能な限り手がかりを与えないという制約の中で危険ドラッグは店頭に並べられているのである。皮肉なことに覚せい剤や大麻といった違法薬物は長期間乱用されてきた歴史から危険情報がある程度知られているが、いたちごっこの中で新製品を生み出し続ける危険ドラッグは症例もなく何が起こるかわからない。普通の薬であればとてつもない研究費と年月を費やし作られるのに、危険ドラッグはいい加減な薬学知識をもって中国の製薬メーカーに発注されるだけ。げに恐ろしきことかな。