あらすじ
警察を馘になった平泉と親友の宗村は、金もなく無為の日を送っていたが、ある日、大和化学工業の重役から機密文書をもったまま失踪した社員の捜索を頼まれる。会社の依頼が罠と知った二人は、反撃の牙を剥き敵と闘うが、事件の裏に某外国政府との秘密利権を嗅ぎつける。凌辱と怒りと殺戮の血みどろの追跡行! 痛烈ハードロマン!
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Posted by ブクログ
1984年の西村寿行作品で、元刑事と、その幼なじみの財産家の息子の2人組が活躍する『街シリーズ』の3作目。
シリーズは作品毎に2人の名前と、微妙な設定が違い、今作では刑事から元刑事になる平泉と、大企業社長の三男の宗村。
平泉が警察を辞めざるをえない事件に関連する大和化学工業の社長から、行方不明になった社員・倉持を探してほしいと依頼されることが物語の始まり。
ただの行方不明に高額な報酬があることに疑いを抱いた平泉と宗村が、倉持を捜索する物語と、大和化学工業から逃亡する倉持の物語が交互描かれるのが物語の序盤から中盤まで。
倉持が大和化学工業に捕まり、大和化学工業が持つ船上で殺害されることをきっかけに物語は急展開、船の上での殺人を嫌った船員・山科が倉持を救出、インドネシアへと2人で逃亡。
男2人の物語と男2人の物語は、終盤で1つになり男4人がジャングルを進む冒険小説へとなる熱い展開。
『街シリーズ』と非シリーズ作品とが合体したような作品ですが、男4人の物語が格段に面白いので早い段階でそうなってほしいけれども、シリーズ作品だから終盤になったのか。
家族の元に帰った倉持以外の、平泉、宗村、山科の次なる冒険があるようなラストでしたが、彼らの次の物語は描かれることなく、次の『街シリーズ』は2作目の本家鉈割瓢と分家・斧割糺のコンビが描かれる『陽炎の街』でした。