【感想・ネタバレ】消えない夏に僕らはいる(新潮文庫nex)のレビュー

あらすじ

5年前、響(ひびき)の暮らす田舎町に、都会の小学生たちが校外学習で訪れた。同学年の5年生と言葉を交わすうち、彼らを廃校に案内する。きもだめしをすることになった響たちは、ある事件に遭遇し、一人の女子が大怪我を負ってしまう。責任を感じ、忌まわしい記憶を封印した響だが高校生活に希望を抱くなか、あの日の彼らと同じクラスで再会する――少年少女の鮮烈な季節を描く、青春冒険譚。

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5年生の夏休み、校外学習で訪れた町の廃校で、仲良し4人と地元の女の子、響が、事件に巻き込まれます。

時が過ぎ、響はもう2度と会いたくないと思いながら入った高校で、あの4人と再び会うことに。
自分は目立たず密かに密かに過ごしていたのに、学園祭をきっかけに、秘密が一気に暴露されてしまいます。

実は、響だけでなく、4人もそれぞれ5年前のできごとへの思いを持っていたのでした。

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2016年09月29日

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少女が住む田舎に校外学習でやってきた4人と出会う。仲良くなった5人は夜に廃校へ向かうことになり、ある事件に巻き込まれる。1人に大きな傷を残し事件は終わりを迎える。

事件の5年後、高校生になった少女は高校で4人と再会をする。事件の罪悪感から4人を避けてしまう。

憧れの高校生活を送りたかっただけなのに。相手のため、自分のための行動がどんどん空回り複雑になっていく。

罪悪感から無視をしてしまった少女、それに気付いて知らないふりをした少女、それを怒ってると判断した少女、その空気に気付けないお調子者の少年、何も知らないタイミングの悪い少年。
5人の視点で話が進むためそれぞれの心情がわかりやすい。

青春の苦さがいっぱいつ詰まった本だった。

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2021年08月16日

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◎消せない過去、5年前に向かって謎を解く

水生大海先生の、風見高校シリーズ第1弾。

風見高校に進学した響は、できれば会いたくなかった人たちと、高校生活が始まった直後に会ってしまうことになった。5年前、校外学習でやってきたメンバーたちだ。
あんな事件がなければよかったのに。今までそれで苦労してきたのに。

友樹、紀衣、ユカリ、宙太。それぞれ響の存在に気づき、それなりの距離の取り方をするが、なかなか響との距離は縮まらない。
5年前の事件を引きずったままはじまり、そのままずるずるとその事件が文化祭をきっかけに発覚してしまう。
黒板にこれ見よがしに書いてあった言葉は、明らかに響が呪いの原因の「佑姫」だということを指していた。そして、一人ひとりの机に当時も語られていた伝説がコピーとして配られていて・・・

事件がなぜ発覚してしまったのかという謎。
そこから5年前の謎を解決するために5人は「仲間」として団結する。
彼らが成長し、真相を解き明かす流れは思わずひきこまれイッキ読み必至。

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2016年08月29日

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青春ミステリ。比重は青春が8割。
小学校の頃の事件、高校の女子社会、文化祭、先生に抱く恋心、おまけに宝探しと青春要素はたっぷりとある。
それぞれのキャラ付けはあとがきにも書かれているように5人戦隊風。
続編もあるようなので楽しみ。

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2015年09月16日

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学園モノ推理。

風見高校1年生「響・紀衣・友樹・宙太・ユカリ」の5人が関わった過去の事件にまつわる謎解き。

節ごとにメンバー5人の主観視点が入れ替わりながら、物語が進むが、節の冒頭に誰の視点かが示されているので混乱することは無い。

正義正論の委員長。投げやりな担任教師。ドロドロしたクラス内女子トークなどなど、いや~な感じのリアリティが渦巻く。

なんとなく“名前探し”“冷たい校舎”といった初期の辻村作品に近い感じ。ぼくの夏休みにも似たノスタルジックな夏の出来事という雰囲気好きだわ。

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2015年06月30日

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 小学生時代と高校生時代の二つを語りながら、群像劇スタイルでそれぞれの視点で物語を紡いでいく構造。
 「ミステリとしての構造」が最初にあって、そこへ人物を押し充てたかのような印象。
 本格は人物が描けていなくて上等…と、思う質ではあるが、ここまで描けていないと残念な気がする。
 殺人や窃盗ではないが「事件」は起こり、推理で犯人を追い詰める作品ではある。
 ミステリありきの作品なのは構造からわかるが、いっそミステリを切り捨て、純粋な青春小説だったら面白くなった展開もあったのかもしれない。
 高校デビュー譚。

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2023年08月23日

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ネタバレ

小学生の5人の危険な好奇心が巻き起こした一つの事件。その過去の事件を巡る青春ミステリ。それぞれの視点による口語調を交えた軽めの文体だが、内容はややリアル寄りであり、起こした事件そのものではなく、事件の爪痕が残した現代への影響が話の主軸になっている。事件が現在進行形ではなく、過去に起こした事件(読者にとって既知の情報)が周囲に発覚するという体裁を取っているため、前半の小学生パートに比べ、本編の高校生パートはややスリルに欠ける部分がある。その代わりというわけではないが、高校生の造形はかなりリアル。男子はやや幼く愚かで、女子は少し大人びているように描かれており、スクールカーストの描写も見事。特に主人公を追い詰める急先鋒となるクラスのリーダー格の女子の描写は非常に興味深かった。単なる女王蜂のイケてる女子や不良女子ではなく、体制側の、ルールを順守するキャラだというのは面白い。クラスのはぐれものではなく、クラスの秩序を守る側が敵に回るというのが、高校生のリアリティなのだろう。ルックスだけがいい女教師の無能ぶりも素敵だったが、こちらは最後に下された罰がやや唐突でご都合主義めいた感じがあったのが残念。しかしこのリーダー格の女子と無能の女教師は、途中で読むのを中断するぐらいに胸糞の悪いキャラクターだったのは逆に素晴らしいと思った。ただ難点としては、ややキャラの掘り下げが甘く、リアルではあったものの、それが魅力として昇華しきれていないのがたまらなく惜しい。特に過去をバラした友樹の馬鹿さ加減や空気の読めなさは高校生男子としてはリアリティがあるものの、読んでいて不快ではあるし、やはりどのキャラもパンチに欠ける印象はある。唯一、教師に恋心を抱くユカリにだけ物語性があったように思う。総じて、キャラクターはやや書き割りで、魅力に乏しいものの、高校生の描写のリアリティはあるので、そこの部分を楽しめるならオススメだろう。

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2019年05月27日

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郊外学習で田舎町を訪れた四人と彼らを廃校に案内した響が五年後高校で再会するが、五年前に捕まった親戚をきっかけに犯罪者扱いをされ高校では心機一転したい響は別人のふりをする。自覚も悪気もなくいじめの流れに持っていってしまうはっきりしたクラス委員が反面教師のようにリアルで印象的。等身大の人物達が瑞々しい。

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2018年10月10日

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絶望系、いなくなれ群青、知らない映画のサントラ、と読んでこれ/ その中じゃ一番面白かった/ それにしても読んでいてイライラが止まらず、さっさとカタルシスが欲しくてページをめくる手も止まらない/ 別の意味ですぐ読んでしまった/ こんなに苛つく登場人物は久しぶり/ しかしミステリ部分は弱い/ 弱すぎる/ あんな推理がまかり通るなんて小学生じゃないんだから/ その稚拙さを織り込んであとがき読んだらなにを偉そうに、と/ いかにも続編ありそうだが、あまり期待できないね/ なぜ新潮nexのなかでコレだけあとがきが許されたのだろうか/

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2018年10月08日

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5年生の夏、ただの冒険だったものが
忘れられないものに。

5人の視点から、それぞれ5年生の夏の事やら
今の事やら、が語られています。
おちゃらけ少年だけ、5年生の時から変わってない。
ある意味、幸せに生きてきた、という感じがします。
変わらなくてもよかった、という事ですから。

とはいえ、周囲のフォローも何も考えてない状態です。
ちょっとは黙っていた事を考えましょう、ですが
アピールしたい人にとって、すべてが材料。
後の事は考えませんし、いい方向に行ってるから~で
終わらせられる根性がすごいです。

それを言ったら、委員長になりたがった、白黒つけたい
女の子もそうですが。
自己満足に突き合わせないでくれ、という気がします。
最後の最後で、の情報を回したカラクリもそうですが
きれいに今の学校、という感じでした。
学力があるから性格まで…というわけでない世界。
どこにいって、辛いときは辛いものです。

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2018年03月05日

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読みやすい小説ではあるものの、幼い頃に親戚が起こした事件のせいで高校生になってもイジメられるという感覚に馴染めない。
基本的にイジメをストーリー展開のキモに使った作品が好きではないこともあって星3つ。

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2018年01月25日

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『5年前、響の暮らす田舎町に、都会の小学生たちが校外学習で訪れた。同学年の5年生と言葉を交わすうち、彼らを廃校に案内する。きもだめしをすることになった響たちは、ある事件に遭遇し、一人の女子が大怪我を負ってしまう。責任を感じ、忌まわしい記憶を封印した響だが高校生活に希望を抱くなか、あの日の彼らと同じクラスで再会する―少年少女の鮮烈な季節を描く、青春冒険譚』

説明の通り。
内容がサラっとしてます。
キャラは個性的で良いですね。

ただし読んだのが少し前なので内容あまり覚えてません
。ということはそれなりだったのかなーと。

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2015年10月24日

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”消えない夏に僕らはいる”水生大海著 新潮文庫nex(2014/09発売)
(イラスト:鳥羽雨)

・・・5年前、響(ひびき)の暮らす田舎町に、都会の小学生たちが校外学習で訪れた。同学年の5年生と言葉を交わすうち、彼らを廃校に案内する。きもだめしをすることになった響たちは、ある事件に遭遇し、一人の女子が大怪我を負ってしまう。責任を感じ、忌まわしい記憶を封印した響だが高校生活に希望を抱くなか、あの日の彼らと同じクラスで再会する――少年少女の鮮烈な季節を描く、青春冒険譚。(公式サイトより)

・・・なんともコメントのしづらい作品。
さわやかな読後感・くせのない内容といった感じでしたが、それだけと言えばそれだけかなーっと。

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2015年03月14日

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自分の在り方を捜す青春ミステリ。とはいえミステリ要素はそんなにないけれど、人間臭さがリアルでよかった

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2014年12月22日

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青春ミステリはご専門かな。羅針盤は良かった。
市場と小田桐先生むかつくぅ。友樹もちょっと。
宙太と富永先生は好き。

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2014年11月18日

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小5の夏の「事件」。
そのせいで中学卒業までの期間が辛いものに。
そんな過去を封印したくて県外の優秀校に入学した響だったが、
彼女はそこで「事件」の当事者たちと再会してしまい・・・

といった感じの学園青春モノ+ちょっとしたミステリの物語。
色が強いキャラたち(でも、実際いるよね、こんな奴ら)の言動
暗くて鬱な展開の前半を読んでいる間は「これは外したかも」
とおもってたけど、宙太の出番が増えて物語が集結に向かい始める頃には
ページを捲るのが早くなった。

でも、「犯人」を割り出したあの根拠は少し弱いかな。
物語のテーマはあくまでも主人公たちの過去の話と青春であり、
ミステリはおまけということなんだろうね。
それなら、もっと主人公たちのキャラを掘り下げても良かったのでは?
とも思うけど、読後感良くて全体的には良かったかな。

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2014年10月07日

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