あらすじ
前触れなく降りだした夏の雨の中、俺は蛍(けい)と出会った――。おとこ、と呼ぶにはまだ幼さの残る20歳の神谷蛍は、時計屋を営む42歳の早川野月(のづき)の生活にするりと入り込んできた。突然始まった、幸福な二人暮らし……だが俺は、蛍のことを何も知らなかった。『きみの背中で、僕は溺れる』の沢木まひろが描く、痛いほど切ない恋。
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Posted by ブクログ
背が低くコンプレックスのある42歳の時計職人と背が高くマネキンのように美しい20歳の彼。
突然降り出した雨の午後、駅のホームで出会った二人は恋に落ちた。
傘を貸したことがきっかけで、名前しか知らない相手と転がり込んできたまま同棲するって、なかなかな始まり。
愛されていることを素直に受け入れられない気持ちとか、いつか別れる未来を考えてしまったりとか、恋愛に臆病な42歳の姿がせつない。
自分の半分以下の年齢で、外見もよくて、仕事もできて、そんな人がなぜ?って思うのはコンプレックスがあるが故なのか。
素直になれないってつらい。
Posted by ブクログ
好きな人と自分の間にギャップみたいなものを感じたときに、なんとなく読みたくなる本。
終盤の展開は、ちょっとだけ現実離れしているかも?
Posted by ブクログ
恋愛小説、ですよねー
解説にあるように、恋に臆病な人向けの。
あはは、ウチアタイするところがあちこちに(笑)
同性同士の恋愛を描いている訳ですが、性交の描写が削ぎ落とされているので、BLってところには納められませんな。
ちょっと都合の良い展開とか気になりはしますが、近所や親の目が気になるといった素材の描き方はよいと思います。
この「ちょっと都合の良い展開」とか、登場人物中における同性愛者の含有率とかBL的だなと思うのですが、そのBL的な雰囲気である種の生々しさが払拭されて、良い意味でのファンタジーとしてできあがっていると思います。
橋口亮輔のものよりかは、落ち着いて読めるって感じですかね。
Posted by ブクログ
『背中シリーズ』としては前作の切なさの方が勝っているが、
今回の話もさらりとしていながら引き込まれる要素は充分だった。
年齢差のある(42歳と20歳)ゲイカップルの話で、
話の流れからすると、どう考えても20歳がタチで42歳がネコ。
中年男がただ若い男を可愛がるという話ではなかったところが良い。
二人の将来的なことはわからないまでも、
作品の終わりはゆるやかにハッピーエンド。
その点が前作より甘かったように思う。