あらすじ
混迷を極める中東に突如現れたイスラム国。捕虜の殺害や少数民族への迫害が欧米経由で厳しい批判と共に報じられているが、その過激な行動の裏にある歴史と論理は何か? また、本書はイスラムそのものに対するメディアの偏見と、第一次世界大戦時に確立された欧米による中東秩序の限界を指摘。そして、集団的自衛権の行使容認で中東に自衛隊が派遣される可能性が高まる中、日本が今後イスラム世界と衝突することなく、共存するために何が必要なのかを示す。【目次】はじめに/序章 中東で起きていること/第一章 16億人のムスリムを見方にするか、敵に回すか/第二章 まちがいだらけのイスラム報道/第三章 イスラム世界の堕落とイスラム国の衝撃/第四章 日本人にとってのイスラム/おわりに 戦争は人の心の中で生まれる/あとがき
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Posted by ブクログ
一般向けに書かれたイスラム文化書では、内藤先生の解説がとてもわかりやすいと思う。
一番わかりやすい本は『となりのイスラム』だが、本書も難しい内容ではない。
なるほどとうなった部分を挙げる。
<人頭税について>
テロ組織が異教徒を人質にして身代金を要求することは、人頭税の一種ということ。
欧米はテロ資金の源になると批判するが、イスラムにはイスラムの考え方があり、相手の文化を知らなければ、相互理解(=平和)には結びつかない。
地獄の沙汰も金次第という言葉が頭をよぎった。
<人材不足>
中東のエキスパートが不足しているということ。
そもそも中東に興味を持つ人が今後増えるのかどうか怪しい。
ニュースでよく見るイスラムとは何か、と一歩踏み出して(少し大げさだが)、本を読む人間が増えれば良いと思う。私もその中のひとりである。
<ドイツでの事件>
とても痛ましく涙が出てしまった。日本でこれほどの差別を見たことがないので、想像するのが難しいが、本当にこれほどの差別がヨーロッパでは起こっているのだと信じられない思いだ。