【感想・ネタバレ】もう年はとれないのレビュー

あらすじ

思いかえせば、戦友の臨終になど立ちあわなければよかったのだ。どうせ葬式でたっぷり会えるのだから。捕虜収容所でユダヤ人のわたしに“親切とはいえなかった”ナチスの将校が生きているかもしれない――そう告白されたところで、あちこちガタがきている87歳の元殺人課刑事になにができるというのだ。だがその将校が金の延べ棒を山ほど持っていたことが知られて周囲が騒がしくなり、ついにわたしも、孫に助けられながら、宿敵と黄金を追うことに……。武器は357マグナムと痛烈な皮肉。最高に格好いいヒーローを生みだした、鮮烈なデビュー作!2013年マカヴィティ賞新人賞受賞作、『IN★POCKET』2014年文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門第1位。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

スゴ腕の警官としてかつてブイブイ言わせていたバック・シャッツ。しかし、腕を鳴らしていたのも遠い昔、退職した今は現役時代のような動きのキレもすっかりなく妻と近くに住む孫と余生を過ごす毎日。そんなバックの元にある日、旧友が死の間際に最後の願いを口にします。その依頼とは、かつての大戦の際に収容所で2人を凄惨な目に合わせたナチスの将校の行方を突き止め、大戦終了時に持ち出したという金塊を手に入れて欲しいと言うものでした。最期の依頼を託した旧友はほどなく息を引き取り、バックは弱った足腰に鞭打って、宿敵ともいえる件の人物を追跡を決意します。しかし、お宝の噂をどこから聞きつけたのか、金塊を狙う複数の人間達が現れ、バックの調査はいきなり困難を極めることになりました。

主人公のかつての宿敵に対する因縁と200ポンドの金塊という財宝を追跡するという、ある意味分かりやすい王道のストーリーですが、本書を際立たせている設定は、『加齢』 すなわち、タイトルの「もう年はとれないDon’t Ever Get Old」という年を取る事への恐怖にあります。中年や初老を主役に据えた作品はいくつかありますが、今作の主人公のバックは第2次大戦のナチスの収容所を生き延びた(主人公はユダヤ人、宿敵はナチスの将校という設定)なんと87歳。後期高齢者どころかもうすぐ米寿のお祝いです。老いの恐怖をコミカルに描くという意味では、ジョン・スコルジーのSF「老人と宇宙」と共通する印象がある感じです。

とにかく、いまやすっかり足腰の弱った主人公は事あるごとに身体機能の低下を訴えつつ、ダーティーハリーはクリントイーストウッドばり活躍をする本書は、ユーモラスなミステリーでありながら、バックの老いていく恐怖を説得力を持って表現している点で、本当に楽しくも魅力あるストーリーでした。

惜しむらくは中盤に入ってからの展開。主人公を付け狙う関係者の連続殺人が発生し、こっちの捜査に軸足が移ります。「罪を犯す手段と同期を持っている人間が何人もいるにも関わらず、一人も殺人者として直感的にしっくりこないことだ」
のセリフ通り、終盤まで全く予想できないフーダニットとして良い出来ではあるのですが、老いの恐怖という本作の魅力が隠れてしまう感じがして、個人的には微妙なところではあります。

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2021年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老人とか老爺とか老害ではなくただ単にクソジジイという言葉の似合う恐るべき主人公。過去編はいくらでもできるだろうが続編はいろいろときついような気がする。足折れてるし。ところでオチを語る上では蛇足だったとはいえ、貸金庫の鍵を盗んだり窓口を騙した件はどう処理されたのかまったく触れられていないのが気になった

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2021年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本当はもう一つ星を追加したい。ネタに触れるのは嫌だが主人公の息子が亡くなったことについてわけありそうに見えて最後まで曖昧なのは納得できないな。

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2018年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

87歳の元刑事が主人公って。
高齢社会のひとつの現れ?
車ひとつろくに運転できない、ひとつ間違えば老人性認知症と取られてもおかしくないくらいの口の達者な爺さんが寄る年の波にも負けず奮闘する物語。

ハードボイルド調な会話の展開、テンポは嫌いでない。最初はぐいぐいきた。
ただ、全体としての筋の展開が。
どうとでもなりうる伏線を張り巡らし、せばめることもせずにありうる展開のひとつに落ち着かせただけのプロットには緻密さが感じられず、もう一息というのが正直な感想。

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2017年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バック・シャッツの目が老いで曇っているからか、老人問題の側面と事件とが全く絡み合ってないように思える。
ピークはジーグラーに面会にいくシーンである。殺人はただ謎のために起こるだけだ。そこに人間の根源的な心理なぞ読み取れない。ただジーグラーに会いに行くシーンには、「死神」に向かう姿勢がある。老いと過去の収容所の虐待とが上手く絡んでいる。
殺人事件をストーリーに入れず、ジーグラーの面会途中の独白をピークとして、その後ゆっくりと終わる中編としていたら秀作であったろう。

バック・シャッツをかっこよくみせるためのアクションシーンや謎解きのシーンなどは全く不要である。本書の最も良い部分が濁るだけだ。記憶帳・息子を無くしたこと・誕生日に死神がやってくること・収容所のこと。このあたりが最も人間的な部分で、残りはただエンタメのために書かれいてるだけだ。

しかもそのエンタメの部分に不整合な点が多くある
・警官がなぜ猟奇殺人をしたのか。バック・シャッツやテキーラに罪を着せるのなら体力を必要とする猟奇的な殺人を犯す意味は全くない。
・なぜユダヤのやり方にのっとってスタインブラットを殺したのか。犯人をユダヤ教徒だと示唆する意味だと解釈するのは困難である。

要するに何故猟奇殺人なのか、が置いてけぼりだ。

もう年はとれないは残念な作品だ。ただその無駄な贅肉の部分が美味いからこそエンタメとして売れてミステリのジャンルになりバック・シャッツというキャラクター小説になっている。この部分が面白く感じられれば本作は老人の心理を鋭く描写したエンタメ小説と受け取れるだろうが、2つの要素が融合しているとは言い難い。

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2017年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

87歳のハードボイルド元刑事。
確かに、アメリカ映画で観るなら(虚構として観るなら)カッコイイ。
けど、現実にいたら・・・
銃さえ乱射しないでくれれば、他は好きです。
銃の乱射がなければ、自分のおじいさんがこんなだったらいいなとも思います。
銃さえ・・・・・そこが日本と違うとこ?

このシリーズは高齢者をありのままに表現しようとしている所が良い。
年を重ねるにつれ、本人の中に沸き起こる葛藤を、ありのままに表現していると思われる。そして、それを受け入れなければいけないことを、分かっている主人公。
ハードボイルドの中に、人間が生きて行く成長段階を受け入れるという事が、いかに難しく、しかし、それがいかに大切か。ということを教えてくれます。
世の中には、100歳のおじいさんを40歳台のように扱おう、扱え、と強要してくるご家族が多いので・・・・本人がどう思っているのかを考えてもらうヒントになるような気がするので、そういう人に読んで欲しい・・・・・・・
あれ?なんかちがう?

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2015年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老後はもう他人ごとではないけれど
87歳になったらもう少し静かな生活を
送りたいと思う。
ナチスの金塊やら何やら、エキサイティングな老後は
本の中で楽しみたい。

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2015年08月01日

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