【感想・ネタバレ】凧と円柱のレビュー

あらすじ

◆待望の第二句集!
心は、以前にも以後にもうつる。それは感情に限らず、見える、聞こえる、匂うといった感覚に関しても。ときに心は、未来の出来事を先に見ることでさえ、ある。─今のこの出来事は、いつか遠い昔にも見えていたし、これからずっと先にも、また新たに聞こえ続けるだろう─
この句集はいわば、心の編年体による。
(あとがきより)


風船になつてゐる間も目をつむり
人参を並べておけば分かるなり
まなうらが赤くて鳥の巣の見ゆる
こほろぎの声と写真にをさまりぬ
上着きてゐても木の葉のあふれ出す
南から骨のひらいた傘が来る
ひあたりの枯れて車をあやつる手
うすぐらいバスは鯨を食べにゆく

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Posted by ブクログ

言葉の関節を外すような句の数々に刺激を受けた。「ほとんどが蓬になつてしまひけり」「円柱は春の夕べにあらはれぬ」「そこにいる蜻蛉に位置が入れかはる」「月面が芒を過ぎてから見ゆる」「つわぶきは夜に考へられてゐる」「卓球の音のしてゐる蚊喰鳥」「かけごゑのその向こうまで逃水が」「まつくらな家にとんぼの呑み込まる」「さはやかに人のかたちにくり抜かる「丘にゐたときとは違ふいわし雲」「まなざしの球体となり霧をゆく」「うすぐらいバスは鯨を食べにゆく」「サルビアは思ひ違いをしてゐたか」

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2021年10月17日

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