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◆待望の第二句集!
心は、以前にも以後にもうつる。それは感情に限らず、見える、聞こえる、匂うといった感覚に関しても。ときに心は、未来の出来事を先に見ることでさえ、ある。─今のこの出来事は、いつか遠い昔にも見えていたし、これからずっと先にも、また新たに聞こえ続けるだろう─
この句集はいわば、心の編年体による。
(あとがきより)
風船になつてゐる間も目をつむり
人参を並べておけば分かるなり
まなうらが赤くて鳥の巣の見ゆる
こほろぎの声と写真にをさまりぬ
上着きてゐても木の葉のあふれ出す
南から骨のひらいた傘が来る
ひあたりの枯れて車をあやつる手
うすぐらいバスは鯨を食べにゆく
Posted by ブクログ 2018年12月04日
マイベスト20句
まんなかが窪む遅日のひとだかり
水に輪があらはれ寒くなりにけり
マフラーのとけて水かげろふの街
ひだまりを手袋がすり抜けてゆく
うぐひすの畳に胴の沈みゆく
鳥の巣を囲んで人の消えにけり
前見るとうしろの見ゆる蚊の鏡
丘に灼けただれてゐたる木馬たち
菜の花と合はさるやうに擦れちがふ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月17日
言葉の関節を外すような句の数々に刺激を受けた。「ほとんどが蓬になつてしまひけり」「円柱は春の夕べにあらはれぬ」「そこにいる蜻蛉に位置が入れかはる」「月面が芒を過ぎてから見ゆる」「つわぶきは夜に考へられてゐる」「卓球の音のしてゐる蚊喰鳥」「かけごゑのその向こうまで逃水が」「まつくらな家にとんぼの呑み込...続きを読む
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