あらすじ
ヨハネ黙示録やマヤ暦に基づく終末予言、テレパシーや空中浮揚といった超能力、UFOに乗った宇宙人の来訪、レムリアやアトランティスをめぐる超古代史、爬虫類人陰謀論―。多様な奇想によって社会を驚かせる、現代のオカルティズム。その背景には、新たな人種の創出を目指す「霊性進化論」という思想体系が潜んでいた。ロシアの霊媒ブラヴァツキー夫人に始まる神智学の潮流から、米英のニューエイジを経て、オウム真理教と「幸福の科学」まで、現代オカルトの諸相を通覧する。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
評価:★★★★☆
もう随分前になるが、グノーシス主義に興味があったことが一時期あって、そのときに大田俊寛の本を買おうとしたことがあった。
その本は彼の処女作にあたるものだったが、既に絶版であり、古本でもちょっと高価だったので結局手に取らずじまいとなった。
それから時間がたって先日、ニコ生に出演している彼を見たらその話がとても面白かったので、著作の中で一番手を出しやすい本書を買ってみた。
本書を読むまでの僕のオウム真理教に関する理解は、「チベット密教をカスタマイズしたもの」という程度だった。
ところが本書によると、どうやら麻原彰晃は、チベット密教から直に影響を受けたというよりも、カリフォルニア経由で変質した東洋思想や神智学に影響を受けた、かなりニューエイジがかった人だったようだ。
そう考えると、中沢新一を始めとした学者や文化人たちが麻原を好意的に評価したのも頷ける。
言ってしまえば、“同じ穴のムジナ”だったということだろう。
とにかく今の世の中がイヤで仕方がないから変革しようという、世が世なら革命家になりたかったようなペテン師たちだ。
結局、共産主義が挫折して、経済の面で社会を変革するのに失敗したから、今度は精神面でリベンジ!というわけで、そういう時代が麻原にある種のオーラをまとわせたことで東大出のエリートがコロッといってしまったのだろう。
幸福の科学の大川隆法も含めて、こういう感じのカルト宗教をやる人たちは、皆おなじような所に出入りしているというのも、笑えるというか笑えないというか。
子供にシュタイナー教育を受けさせたくてオーストラリアに移住した劇画原作者の雁屋哲さんにもぜひ読んでいただきたい一冊。