【感想・ネタバレ】捜査線上のアリアのレビュー

あらすじ

銀行員の津村豊和は雑誌の懸賞小説に応募、幸運にも新人賞に入選した。入選後は会社も辞め、取材の依頼や講演が殺到し「時の人」となった。だが、それも一時期だけで、原稿依頼もとだえ、妻の則子は温泉街の芸者になり生活を支えることに。ある日、津村は泊まっていたホテルで殺人事件に巻き込まれ、“容疑者”として取調べられた。皮肉な事にこれをきっかけに津村の小説は急に売れ出した。一方、捜査線上には、意外にも流行作家のMが浮かんだが、Mには鉄壁のアリバイが―――。文壇の内幕を抉る、社会派ミステリー!!

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捜査線上のアリア

「エピローグ」が森村氏作、本体は津村豊和氏作の「操作線上のアリア」なる小説。この小説を持ち込まれた森村氏は、推理小説としてボツになるレベルと判断したが、何とか救いたいとの思いから「エピローグ」を追記した。

犯人が確定したと思えたが「エピローグ」でどんでん返し、思いもよらぬ犯人が浮び上がる。

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2024年09月27日

Posted by ブクログ

 銀行で働く津村豊和は、入行して10年目、仲の良い同僚の自殺をきっかけに自分もこのまま銀行に飼い殺されるのは嫌だと感じ、昔から好きだった小説を書いて生計を立てられないかと思いつく。そして一作目が幸運にも懸賞小説で入選し、天狗になった津村は早々に銀行をやめてしまうが、2作目をなかなか発表しなかったため、すぐに編集者にも世間にも冷たくされ、後がなくなってしまう。なんとか自分の原稿を売り込もうと東京に出てきてホテルに泊まった時、隣の部屋で女性の他殺体が見つかり、津村は犯人らしき男を目撃したにも関わらず警察には信じてもらえず、容疑者として取り調べられることになってしまう。落ち込む津村だったが、ここで発想を変え、自らの体験を小説として出版したところ、これが皮肉にも好調な売れ行きを見せ始める。

 いつのまにか作中作という体裁になっており、最後には森村誠一自身が物語に登場し、しめている。構成自体にトリックが仕掛けられているというのはこの時代にとってかなり斬新だったのではないだろうか。

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2015年08月06日

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