【感想・ネタバレ】ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国のレビュー

あらすじ

欧米の手法や技術を丸のみすると食あたりを起こす。時折この比喩を用いてきたがある時「適応異常」という言葉を知った。欧米から何かを取り入れ、適応できたつもりでいても実際には異常を来している。これが適応異常で食あたりと違い自覚症状が無い場合が多いから厄介だ。
近代化に伴う適応異常とその対策が本書の主題である。主題を考えるための題材として日本企業がコンピューターを取り入れる際に生じる混乱を取り上げた。コンピューターは欧米の合理主義の精華だが、日本はコンピュータの製造でも使いこなしでも一時期は欧米を上回るかのような成果を上げた。だがコンピュータに関わる人々を見ると担い手も利用者も苦労が絶えない。何か歪みがある。
本書を読んで頂きたいのは経営者やビジネスリーダーの方々である。収録した原稿は元々日経ビジネスオンラインというウェブサイトに、こうした方々に向けて書いたものだ。コンピューターは題材に過ぎないからそれに関心が無くても、欧米の考え方や手法を取り入れた時の問題と対策を考える際に役立つと自負している。
本書は四つの章に分かれている。第一章に適応異常の実態を、第三章にその原因をそれぞれ書いた。深刻な事故や事件はあえて避け、変だと気付かない事象を取り上げている。第二章はいわば総論で問題と対策の骨子を手短に記している。第四章には主にコンピューター利活用における対策をまとめたが、四章の内容の抽象度を一段上げて読んで頂くと他の技術利活用の際の対策になるはずだ。どの章からでもどの節からでも読めるので気楽に頁をめくり、関心を持たれた所から読み、ご自分なりに考えていただければと思う。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

30年にもわたりコンピュータと経営に関わる取材を行ってきた作者が日経記事へ投稿した記事に手を加え書籍化した作品。日本と諸外国との経営と技術の問題を指摘している。この問題は単純にどちらがよいとは言えず一長一短があるが今のままでは日本は危ないと危惧している。日本の近代化ともかかわる部分で過去にこれらを指摘してきた方々の記事を参考文献として挙げているのも非常に参考になる。

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2015年01月19日

Posted by ブクログ

前職の時から感じてた事、そのままですね。
ホント、日本のドメの会社はITの地位低すぎるよ。だから事業会社でITやる優秀な人間がいないんだよね。
米国ではIT人材の72%が事業会社にいるのに対して、日本は75%がIT会社にいるの。真逆だと。
そりゃー、まともな要件も出せないし、作ったシステムのまともな評価できないよ。
産業構造は建築会社と似ていると言われてるけど、それは日本だけかな。いや、米国はDIYか。そこから違ってるのか…

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2019年02月05日

Posted by ブクログ

基本的にWebサイトのコラムをとりまとめた内容とのことで、内容が多岐に飛ぶというか、脱線している感がある。
アメリカのソフトウェアの内製化割合等は初めて知る内容で良かった。
全体的に抽象度が高い話題になっていると言えばそうとも言えない。抽象度が高い話題、多岐に渡る話題(文化的、歴史的、思考・思想的)が好きな人は良いが、そうでない人には読みづらいと思う。文化的な側面からの考察がいろいろとあり面白い。
最終的には、日本の情報システムにおける構造的問題に対しては、悲観的態度となっているように思う。
今後の情報システムを考えるうえで、いろいろとヒントとなることが書いてある。

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2015年03月23日

Posted by ブクログ

タイトルが示すような、単純にITに関する日米の比較を論じた本ではありません。
経営と技術にまつわる様々な問題を掘り下げることで、情報システムのあり方について今一度考え直すきっかけを与えてくれます。経営者や情報システム部門の管理者向けの書籍といえるでしょう。

日進月歩で進歩する情報技術の波の中で、技術に振り回されて本来の目的を見失っている企業が多いのが現状ではないでしょうか。
そうならないためには、ビジネスのグランドデザインを描き全体を俯瞰できなければなりません。
グランドデザインのもと、事業部門はビジネスを遂行する責任を果たすために、自分ごととして情報システムの構築・運用に向き合うことが求められます(オーナーシップ)。その前提があって初めて、情報システム部門(IT技術者)が力を発揮できます。

技術に対して主導権を発揮するためにも、社内にシステムを内製できるだけの力をもったチームを育てる必要があります。内製化のメリットして制度変更・新商品開発などの変化に情報システムを適宜対応していけるということも考えられますが、やはり企業が情報技術に対して主導権をもって臨めることが最も大きいでしょう。仮にシステム開発を外注する場合も、内製力があってこそ適切に管理することができます

これからは、トップと技術者が連携してビジネスのグランドデザインを共有することが重要になってくるとは間違いありません。ITに携わる者として、一本筋の通った思想というか価値観を与えてくれた一冊でした。

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2015年03月14日

Posted by ブクログ

ITは手段である、ということを日米比較を通して述べている。
よく"米国にはSIerなどない"というような乱暴な論調が見られるが、米国の内製化の概念を理解した上で判断すべきだと感じる。本書では、そのあたりにも触れられており、日本のSIをどうしていくべきかを考えるのに役立つ。

■主要論点
[マネジメントに関する論点]
【判断】顧客のために秩序や組織の枠組みを超える
【実行】判断、計画立案、指示、説明を少数精鋭で担う
【広報】顧客が理解できる情報発信
【報道】事実を系統立てて冷静に伝える

[テクノロジーに関する論点]
【自力】技術は一人称で舵取り
【制御】異常時に優先順位をつけてさばく
【遠勤】モバイルワーク禁止を解除

[グランドデザインに関する論点]
【代替】インフラのインフラのバックアップ
【設計】全体像から描き直す
【理想】全員が協業するために

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2014年02月23日

Posted by ブクログ

副題に記載された通り、ソフトウェア以外の話題に触れられており、日本近代化の諸問題についての分析や知見が得られる本。ただ、連載の書籍化であるため、筆者の主張がぼやけてしまっている印象は否めない。また、マネジメント特にドラッカーに関する記述が多く(それはそれで面白いのだが)、いっそ別の書籍に分けるベキではなかったかとも思う。

全般としては、日本企業の低迷の要因は大きく以下の3点であるように思った。
1.グランドデザイン力向上に関する教育の欠如。これにより、魅力的なモノができない。よって、売れない。
2.経営と現場の情報面での乖離に伴う連携の悪さ。これにより、責任の不在、現場対応の多発。
3.ビジネス領域を分析する時間や人材の不足。これにより、魅力的なモノも、また新たな人材も育たない。

これら(特に1、2)は戦前より、日本が抱えている問題だが、アメリカや西洋はこれらをどんな人材でもこなせる様にする方法を学問的に考え、系統立てておりその点においては日本も学ぶところがあるのではないかと記している。

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2014年02月11日

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日米のITユーザー企業、ITベンダー企業の違い(必ずしも欧米万歳ではない)を説き、元々欧米が発祥であるITを日本に適応させる諸問題を先の大戦そして明治からの近代化にまで遡って検証し、日本のITの将来を考察する。
日経ビジネスオンラインに連載していた記事の加筆訂正版なのでそれほど新鮮味は無いが、日本のITの諸問題について改めて考えることができる好著、夏目漱石の「私の個人主義」からの引用、「一言にしていえば日本の開化は皮相上滑りの開化であることの帰着するのである。」がとても印象的、「明治は遠くなりにけり」どころか昭和も遠くなりつつある今日ですが...。

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2014年01月26日

Posted by ブクログ

IT分野は米国の後じんを拝してしまったため、ソフトを自分で作らなくなる文化となってしまったのかなという気がします。直接的な要因ではないにしろ、、、
米国の担当者が、日本のITの現場をアウトソーシングして、企画だけ自分でやろうとしているやり方に驚き、現場を知らずして企画の善し悪しなんてわからないだろうという感想があったとありましたが、つい共感してしまいました。
結局、ITを経営の道具として使いきれていないのは、こういう違いからくるのだろうと思います。

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2014年01月16日

Posted by ブクログ

ほぼ全てに同意。
日米の考え方の違いは ↓ のようなエピソードに端的に表されていると感じた。
”日本の航空会社の情報システム担当者から二十年近く前に聞いた話だ。彼が米国の航空会社の情報システム担当者に会い、情報交換した際、今後の方針として「ソフト開発や出来上がった情報システムを動かす運用といった仕事はシステム子会社や IT企業にアウトソーシングしていく。我々はシステムの企画に注力していきたい」と説明した。
それを聞いた米国の担当者は目をむいてこう言った。「開発や運用を自分でやらず外部に頼んで何か問題が起きたらどうするつもりだ。企画なんか外に頼めばいい。コンサルティング会社に金を払えば、いくらでも企画を持ってきてくれる」。”(P.15)
企画なんて立てなくても、いずれにしろ判断するのは自社なので出所なんか関係ない、運用も開発も(少なくともいくらかは)自分たちでやらないと判断の根拠となる知識(暗黙知・経験も含めて)が得られないので当然責任を持った判断ができなくなる、といったことを含意しているのを見逃してはならない。
この本を通して、こうしたことに日本企業は無自覚すぎないか、何の経験も知識もなしに「企画」や「開発」「運用」のリーダーなんかできないよ、ということを言っていると思う。

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2014年01月09日

Posted by ブクログ

システム内製化により、自分の作りたいものが出来ていく。
設計プログラムを覚えて、第一歩を踏み出したい。

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2025年05月02日

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日米を比較する。経営と技術を巡る珍現象、明治以来の難題に取り組む時、「言葉のインフレ」は恐ろしい、答えは30年前からそこにある。

ここが変、を掘り下げ、文化の差・仕組みの違いを示す。システム内製が出来ないのは、技術者が柔軟に安心して所属を変えられる社会になってないからでは。

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2015年06月14日

Posted by ブクログ

日本と米国などとの文化等の違いを認識したうえで、どのようにIT戦略(というか、ITシステム開発の在り方)を進めていったらよいか、答えはないが考えていく内容と読んだ。
「アップルの考えるデザインと、一般のデザインは異なる。アップルの考えるデザインは、エコシステムなども含めたグランドデザインである」というのは、なるほどと思った。
単純なITシステムだけではなく、日本の欧米化の形態から考察しており、ちょっと広い目で考えるという点で面白い本だった。

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2014年11月01日

Posted by ブクログ

システムを内製するか、外部に委託するか。日本はたしかに何かブームに乗せられるような形で、アウトソーシングありきの動きになってた感はあるような気がする。内容的には、中盤タイトルから離れてるような気がしたのと、ちょっと引用が目について読みづらかったかなと。

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2014年07月24日

Posted by ブクログ

興味深いタイトルで思わず手に取った人も多いだろう本書。日本のシステム開発の現場で課題となっているグランドデザインスキルの醸成とシステム内製化について、米国との比較、過去からの日本の推察を交えて提言している。なかなか難しい問題だが、バランスを取って進めていくしかないのが現状の認識

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2014年07月01日

Posted by ブクログ

タイトルと内容があまり合っていない。個々の主張は納得できるものもあるし、同意できないものもある。また、バラバラな記事をまとめたものなので論旨の流れが良くないし、結論として作者が主張していることは、記者として人の話を聞きつづけた結果の意見であり、何の経験的裏付けも理論的根拠もない。

…と酷評したものの、良かった点は、各章末のコラムにおける書籍レビュー。『戦艦大和ノ最期』、荷風、漱石、『ガリバー旅行記』と、近代化、文明化に関する課題を鋭く突く本を選んでいる点が渋い。また問題を適応異常という概念でとらえ、解決の方向性として全体像、グランドデザインに求める点もなるほどと思った。

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2014年05月03日

Posted by ブクログ

・米国と日本のITを比べた場合、
 同一業種で事業規模がほぼ同じ場合、米国企業の情報システム部門の人数は日本のざっと10倍
 →SIerよりユーザ企業の情報部門の比率が高い

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2014年03月01日

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