【感想・ネタバレ】ホームレス入門 上野の森の紳士録のレビュー

あらすじ

元ビジネスマン、出稼ぎ日系人、哲学者、アル中……ホームレス達のサバイバルと、それを取り囲む役所、争議団、宗教団体、手配師達の実態。

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Posted by ブクログ

ホームレスな人たちとの直接の触れあいの中から生まれた、まさにこれぞルポ。

上野のホームレスな人たちの実際の生活の様子や性格、ホームレスをとりまく周囲の状況や独特の世界。非常に詳細に書かれています。

この本の随所にちりばめられた、怒りともとれる著者の心情。すごくよく分かる気がします。遊牧民の例を引き合いに出したのは、個人的にはとても興味深かったです。「そうか、遊牧民とホームレスの違いはこういうことだったのか」と、分かりそうで分からなかったことの謎が少しでも解けたような気がします。

ホームレスな人たちに嫌悪感がない人も、ホームレスな人が嫌いな人も、ぜひ読んでみて下さい。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

私もその一員になるかもしれない
妻子を抱えリストラで失業しホームレス一歩手前になった40歳過ぎの著者の上野公園のホームレスたちとの交流記である。出版は十年ほど前。当時全国で3万余のホームレスがいたらしいが、年間の自殺者数に匹敵するこの人数は現在も減っているとは思われない。ホームレスと言うと髪がぼうぼうで服はボロボロ、神経がズレて自暴自棄的なイメージもあるが、意外とまっとうな普通の人たちが大半である。「元社長、元職人、元教師、元出稼ぎ日系人・・・。戦後日本の経済発展を支えながら、今や社会の片隅に追い払われたホームレスたち。押しが弱いか、おべんちゃらを言えないか、身体が弱いか、年をとりすぎたのか、才能がないか、怠け者なのか、気前が良すぎるのか、偏屈なのか、運が悪かったのか、単にうっかりしていたのか、気位が高すぎるのか、酒か、博打か、競争社会からの逃亡か、それぞれがそれぞれの理由で家を失い、難民として公園に住む。」

私は生来の忍耐力の無さが原因で、大学を出てから20代30代とと両手の指で数えられないほど自分の意思で転職し40代から50代初めまで初めて10年以上同じ仕事を続けた。そして50過ぎにまたしても自分の意思で失業、数年前やっとのことで定職につき現在に至っている。

私が転職を繰り返した20代30代は今に比べてまだ時代が良かった運が良かった、贅沢を言わなければ健康であれば新しい職は見つかり何とか家族を養っていけた。今ならホームレスになっていても不思議ではない。50代初めの無職はさすがにきつかった。運良く住む家があったのでホームレスになることは無かったが、住む家が無かったら、ホームレス一歩手前だった。

ホームレスになるかならないかは紙一重であり、人生は運である。自分は努力しているからとか才能があるからとか思っている人もあるだろうが、私の考えでは人生のかなり大きな部分(すべてとは言わないが)は運に左右される。運のいい人生を生きるためにはどう生きるべきか、親や学校、子供の教育はこれが一番肝心だと思う。

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2011年09月20日

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