あらすじ
70件に及ぶ現実事件を素材として明かされる捜査指揮の形とは。伝説のノンキャリア警視庁捜査一課長・寺尾正大氏の協力も得て刊行され、第一級のリーダー論としても読み応えある一冊。
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Posted by ブクログ
元警察庁キャリアが名物元捜査一課長からの協力を得てまとめた、中むけの講義用資料をベースにした本。実際の事件例がアレンジされつつもふんだんに引かれている。
著者の時に強硬な捜査を支持する考えは、冤罪事件に厳しい目の向けられる昨今の時流には反するが、「疑わしきは罰せず」は裁判での話であり、警察は警察としての職分を尽くして疑わしいから調べるのだという主張には納得。時流の行き過ぎへのアンチテーゼと捉えたい。
また、判断、組織、仕事への取り組みといったあたりは、捜査だけでなく仕事一般の指針になりうる。例えば、、、最初から犯人、犯人と欲張っているとダメで、犯人を知っている人から捜したほうが成果が上がることが多い。とか、指揮官は捜査資料をとにかく多角的に幅広く読み込むべし、といったあたりは、仕事の裾野を広げる大事さを思わせる。また、「これはつぶした、もうやった」というのを鵜呑みにしてもダメで、鑑識にしても、その道のプロに見せないと分からない場合もあるというのも深い。ミクロもマクロも押さえないといけないのだ。
Posted by ブクログ
元警察庁のキャリア官僚の手になる捜査や指揮官の心構えの本。実例に富んでいるほか、著者自身が警察の現場で得た経験を含めて書いているので、リアリティがある。
捜査指揮というのは、一種の戦術や決断のことではないかと考え、仕事やビジネスにおいても応用できる部分が多いだろうと思って読んでみたが、この点については、もう少し、指揮官が決断するプロセスや思考法について具体的に書いてほしかったという思いが残る。それでも、良質な経験を積むことが大事ということなど、教訓とすべき点がなくはない。