あらすじ
病死に見えて事故死かもしれない、自殺に見せかけた他殺かもしれない、危険ドラッグや過労が原因の死かもしれない。それなのに日本では、犯罪性が疑われる死体の2割が解剖されず荼毘に付されている。また、「死因のウソ」は生きている人間に悪影響を及ぼす。伝染病の発見が遅れ、虐待も見逃され、補償金や生命保険料の支払額に誤りが生じる。解剖、CT検査、DNA鑑定、組織鑑定など法医学者の仕事から、社会問題をあぶり出す。
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Posted by ブクログ
日本の死因究明制度に警鐘をならす本。とても勉強になった。
検視の具体的な方法は、CT、解剖、DNA鑑定などわかりやすく説明され、世間を騒がせた事件を例や、海外の制度と比較で解説されているため、一般の人でも問題点が理解できた。
異状死は行政検視だけで事件性の有無がわかるわけがない。
なのに日本では解剖がほとんどおこなわれていない。
それによって、冤罪や犯罪の見逃しが増え、保険金が適正に支払われず、伝染病を察知できないなど、問題点がたくさんある。
日本では死因究明制度が機能していないためである。
日本の制度は複雑になっていることが多々あり、これもその一つであろう。
もっと単純にして運用していかなくてはならない。
一昔前の日本では、地域のコミュニティーが強く、犯罪性の有無を聞き込みや自白など周りの状況である程度判断できていたため、今の死因究明制度で対応できていたのだろう。でも、都会では隣に住んでる人のこともわからないこの時代に、今の制度では不十分である。時代に合った、他の先進国に倣った制度が必要である。
ただ、それには費用の問題、遺族感情の問題が生じてくる。外国ではあまり問題にならないかもしれないが、亡くなったらきれいな遺体で早く葬儀を挙げたいのが日本の遺族感情である。その遺族感情を解決するには、国民が死因究明の重要性を理解しなくてはならない。啓発活動がまだまだ不十分である。
特に印象に残ったのは、
「医師のみがサインする書類にも関わらず、警察官の判断も加えなければ書けないはずの「死因の種類」の欄があることがおかしい。」
警察属託医として開業医が異状死を検死することが多いため、それぞれがもっと知識を付けなくてはならない。そして、この問題点を医師会が重要視して組織として声を挙げていく必要があると感じた。