あらすじ
ふんわり可憐なその容姿に似合わず、日常のどんなものにでも首を突っ込んで、分析しなければ気が済まないちょっぴり残念な女子大生、葵子。 バイト先で、ふと訪れた喫茶店で、大学の研究室で──葵子は今日もどこからか、日常に隠れた分析の種を見つけてくる。 くすりと笑う彼女の唇から転がり出す、冗談めかした分析。それは、つまらない日常の色をがらりと変える。くだらなくって可笑しくて、けれどちょっぴり温かい、日常の謎の真相とは……。 軽妙に二転三転する論理が楽しい、おもちゃ箱みたいな日常分析ミステリ登場!
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Posted by ブクログ
推理に明確な答えがないのが不満と言えば不満。
ただ、雑談に推理もどきをする日常系ミステリーもどきだと思えば違和感はない。
登場人物たちの異様なハイテンションについていけるか、想像にお任せ的なエンドを許容できるか、で読む人を選ぶと思う。
自分的には好きでも嫌いでもない。
電撃文庫版は高校編なのだろうか。
せめて真相くらいは書いてほしかった。
Posted by ブクログ
大学生となった赤村崎(通称テル)と加茂(通称カモトキ)が、高校時代と同じように謎に首を突っ込み、間違った分析結果を導き出すといったお話し。高校時代が2冊出ているから、続編とか第3弾とか言った方がいいだろう。
短篇が4話収録されているが、それらは、ある部分が重なり合うので連作短篇もしくは4章立ての物語となるのだろう。
相変わらず無駄なモノローグが多すぎるが、高校時代編に比べると3割ほど減っているため、かなり読みやすくなっている。が、しかし相変わらず会話に於いては誰がどのセリフを言ったのかが判然としない文章で難儀する。とはいえ、地の文章が無駄なモノローグなので全て読み飛ばし、会話文だけを追っていけば内容は十分わかるし、その場合、誰が発したセリフかなどは無視してもストーリーの流れを知る上で問題ない。
そのようなリーダビリティーの難点を凌駕するくらい、本作は物語の構造自体が面白いのだ。探偵が推理を間違うという形式は「明治開化安吾捕物帖」で著者安吾が取り入れているが、間違いが登場人物の意図によるものというのが本作の特徴だろう。そして何故間違ったのかがヒントや解として巻末で読者に提示されるというのも本作ならではの優れたアイディアだ。推理の二重構造、もしくはメタ推理小説という点では我孫子武丸の「探偵映画」のようにも感じる。
これで謎が精緻に組み立てられ、ラノベ的モノローグがあと6割少なければ、名作になるかもしれないのに…。残念だなぁ~。