あらすじ
「この橋で会おうよ」。高校を卒業して6年目の夏、同級生の葬儀で再会した前野たち9人は、1年に1度、思い出の橋で会う約束をした。高校のマドンナ香織、優等生だった真弓、エリートの西条……。高校時代の延長だった橋の上の集まりはいつしか「特別な時間」へと変化していく。恋、結婚、仕事、不倫、挫折。人生でもっとも揺れ動く時期、9人の心をつないでいたのは、高校時代に通った一本の橋だった。清冽な自然に抱かれ、少しずつ大人へと成長していく十年間の青春の軌跡を描いた、せつない感動作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
同じ橋の上で同級生9人で毎年1回会う約束をした10年にわたるお話。
舞台は橋の上しかでてこない。
9人の色んな視線や想いが絡まって、
大人になるにつれてみんな色々な事情を抱えだすけれど、
友達を察しながら、予想しながら、寄り添いながらも
会うのは年に一回。
中にはその年に一度に来れない人もいる。
印象的なのは、主人公の言う
「世の中には二種類の人間がいる。幸せだけで生きていける人間と、幸せだけでは生きていけない人間。 」というフレーズ。
幸せが続くと窒息しそうになって、激しいものを求める人間と、
多少つまらなくとも平凡な幸せの時間を送っていける人間。
これに自分はこっちですってはっきりと言える人って
きっとそう多くはいないはずで、
そんなアンバランスな振り子を心に持ちながら
誰かの存在や、誰かの言葉に影響されて、
大きくあっちに揺れたりこっちに揺れたりするのかなと思う
まだまだ未熟な31の夏の感想。
本そのものは、とても読みやすくて一気に読める。
Posted by ブクログ
9人の同級生が、あることをきっかけに、高校時代に通っていた橋の上で毎年1回だけ会うという設定の小説です。これが10年間続くのですが、そこには、恋愛、不倫、仕事、夢など、さまざまな思惑の揺れ動きが描かれています。
24歳から34歳までの、彼、彼女らの軌跡が、淡々と描かれていて、いま32歳の僕としては、すごく感慨深いものがありました。
社会にもまれて、変わっていく彼らの姿が、すごく等身大で良かった。でも、実際に変わっていくのは自分の見せ方なんだなーって思いました。中身は変わっていない(良い意味で)。
人はみんな歳をとるごとに仮面のようなものをかぶっていくのかもしれませんが、本当はみんな「仮面の下の俺(私)を見て」って思っているのではないでしょうか?
それにしてもラストシーンは切なかったです。でもこの小説のラストとして、あれで良かったんですね。
9人の登場人物がいるので、きっと「あなた」に似た人もそこにいると思いますよ。