あらすじ
海軍きっての知米派の大井篤大佐が若き日の米国留学を回想した貴重な記録。軍上層部へ反対する気骨がどのように育まれたか、若き知性派軍人の熱い思いが伝わる。阿川弘之氏の長男、阿川尚之氏の書き下ろし解説を収録。
※本書は、雑誌「水交」に連載された「保科さんと私」を改題し、書き下ろしを加えたものが底本です。
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Posted by ブクログ
大井氏が最晩年に水交会の雑誌に連載したエッセイをまとめたものである。1994年に92歳で亡くなり未完となったが、昭和一桁の時代のアメリカ留学の話を、自身や同行の保科善四郎の日記を参考にしつつも、平成の時代に書くのだから凄い。これだけでも大井氏の頭の良さが窺える。
保科さんと私という副題ながら、次第に私が何を考えていたかに重点がおかれていく。丁寧で飾らない文章は読みやすいながら、ジェファーソンやアリストテレスを引用してのアメリカ理解、「リクツヤ」の自覚、海軍留学組や現地の人々との交流、など昭和初期の海軍エリートの等身大の姿がよく表れていておもしろく読めた。