【感想・ネタバレ】義珍の拳(琉球空手シリーズ)のレビュー

あらすじ

時は明治。琉球の下級士族の家に生まれた富名腰義珍は、生来の病弱を克服するために門外不出の秘伝であった唐手を学びはじめる。ひたすら同じ型を練り続ける日々の中で義珍の心身は強靱になり、修行にのめり込んでいく。そして時は移り、教育者となった義珍は、唐手を青少年の育成に役立て、古伝の精神を本土に普及させることを決意する。琉球秘伝の「唐手」を極め、本土に「空手」を伝えた男の生涯。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

“拳”豪が活躍する武侠小説かと思って手に取ったら、実在した人物の伝記小説でした。

最初は襲いかかる敵をばったばったとなぎ倒して行くような場面を期待して読み始めたのですが、そのような場面はほぼ皆無。代わりに、沖縄伝統の武道としての唐手を正しく伝えられずに苦悩する義珍の描写が多くみられます。

個人的にその人間らしい姿に共感を覚え、おそらくはそれが原因で作品に惹き込まれてしまいました。派手な内容の話ではなかったのですが、読後感としては非常に満足。ただ一点、義珍が本当に伝えたかった沖縄伝統唐手の極意が、今もちゃんと継承されているのかだけが気がかり…

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2012年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

沖縄武術シリーズもゴールかもしれない
松濤館流の創始者である船越(富名腰)義珍の
物語は時代の影響をモロに受けており、最後の
古き唐手の教えを受けた幸運、沖縄の王の時代
の終焉は武士としての栄誉を受ける事なく義珍
の強さを誇る場を失い、日本国の一部となる時
の差別と、本来秘密である唐手を体力増強も兼
ねた体操モドキに改良して普及を図る
沖縄の宝である唐手を遺すため広く普及用の形
を創作した師匠糸洲(現在空手の平安の創作や
抜塞・観空等従来形を改造して大小分けた)の
後を継いで学校で教えたり東京での披露する機
会に講道館嘉納治五郎との出会いで内地での活
動を開始する、その後沖縄手を巡る意見の相違
体力増強と腕力・スピードを主体に鍛える事を
中心に大学4年間での成果を求める息子と衝突
病気と戦争による別れなど終盤は読んでいても
もの寂しい気持ちになるものの、武士サールー
の本物を見せ続ける事の大事さに早く気が付け
と歯がゆい思いもした

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2024年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

沖縄の唐手(トゥーディー)を「空手」として本土に広めた実在の人物がモデル。作品の中では富名腰と表記されていて、別に船越の表記もあるようだ。剣道の心得のある津本陽の剣豪小説がそうであるように、空手の心得のある人が描く「武術」の場面には迫力がある。東京に出た義珍が嘉納治五郎と出会う場面などは興味深い。柔道と柔術の間にとてつもない葛藤があったように、義珍にもあった葛藤を描いている。

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2023年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

空手(もとは唐手と呼ばれていた時代)を、沖縄から本土に広めた船越義珍の伝記的小説。カラテの歴史が学べて面白かった。

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2012年08月18日

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