あらすじ
〈かな〉を濁った音にする「てんてん」(濁点)は、実は近代に発明された記号だった! 自然の音を言葉にする能力に長けた、日本人の精神性に根ざした濁点の由来と、その発明の真相に迫った刺激的考察。
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Posted by ブクログ
「てふてふ」は実は「でぃえっぷでぃえっぷ」と読む……。そんな衝撃的な話から始まる、日本語の謎。当時の読み手の音声が残っていない以上、この説がどこまで正しいのかはよくわからないのだが、この分野の研究書をいくつか読んでみたい気にはなった。ただ、ところどころ「ほんとにそう言い切れるの?」といった部分があるのが正直な印象。
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<目次>
第1章 日本語の増殖
第2章 万葉仮名で書く日本語
第3章 「かな」前夜
第4章 清なる世界が創られる
第5章 言葉は曼荼羅
第6章 訓点と濁点
第7章 言葉遊びの文化
第8章 みんなで極楽へ
第9章 キリシタンと濁音
第10章 江戸と濁音
第11章 言葉は科学である
第12章 濁点のの研究
<内容>
日本語の歴史について、多くの著書を持つ著者。今回は「濁点」(半濁点)について、その発音から始まり、表記についてまで、日本史の流れの中でまとめてある。途中、空海など脱線があるように見えるが、必要なものだったらしい。結論を書くと、濁点を表記することはなく、日本語に濁点のある言葉も少なかった。仏教の経典を原語(サンクスリット語)を表記しようとしたりする中で、それが必要となった。また中国語で経典を読もうとしたときの、書き入れ(アクセントなどの表記)の過程で、濁点(てんてん)が生まれてきた。明治以降に濁点や半濁点(外来語の表記に必要となった)が50音に加えられた、ということだ。