あらすじ
前58年以降、数年にわたりカエサル率いるローマ軍が、ガリアからブリタニアにいたる広範な地域をローマの勢力下におこうとして遠征を試みた貴重な記録である。当時のガリアやゲルマニアの情勢を知る上で必読の書として知られ、また、カエサル自身の手によるラテン語で書かれた簡潔にして流暢な文体は、文学的にも高い評価を受けている。タキトゥスの『ゲルマニア』とならぶ古代研究の最重要史料。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
8年に渡ったガリア地方への遠征を、簡潔な文章でまとめている。ガリア諸部族の風俗についての記述も、カエサルが指揮した戦闘の背景として欠かせない。1年を約30頁でまとめており、読みやすい。地図は何度も見返した。
Posted by ブクログ
ユリウス・カエサルによって書かれたガリア遠征記。
カエサルの文章はキケロと並んで、ラテン語の名文といわれていますが、2000年以上前に書かれたものとは思えないほど、簡潔にして要点を得た文章。9年に亘ったガリア・ブリタニア遠征の全貌がつかめます。この遠征によってライン川がローマ帝国とゲルマン民族との国境が確定し、その後のローマ帝国の繁栄にもつながります。4~5万人の軍団でガリア全体を征服したカエサルの戦略的・戦術的な天才性ばかり目立ちますが、結果的に100万人以上の死者を出したといわれるガリア側から見ればいい迷惑なんでしょうが。
Posted by ブクログ
塩野七生氏が著書の中で絶賛していたので試しに読み始めてみたが、読み始めた時は「それほどか?」という印象。
塩野氏が歴史家でも研究者でもないのに歴史書のような装丁、引用でミスリードしながら嘘混じりの誤解・勉強不足の内容を平気で書くことや『ローマ人の・・』の書き方への嫌悪を差し引いても、
1) 原文で読んでいないこと、
2) 私が日本語・英語の優れた報告書(= より進んだ時代の洗練された形式)に慣れていること、
3) 同時代のローマ人のレベルを知らない(日本書紀を読んだ経験から、同時代人はかなりの野蛮人であり、簡潔に系統的に書けるのはかなりの知識人、才能であろうことは想像できるが・・)こと、
の3つの要素がネガティブな印象に影響している可能性は大いにある。
巻末の解説や用語集から先に読んだ方が時代背景や当時のローマの制度などを知ることが出来て戦記の内容が理解しやすい。
解説にある、カエサルの書いた原本はこの世にもはや存在せず、残る複数の写本は10世紀以降の物であることや、写本にかなりな差異があることは考えてもみなかったことで、驚くと共に納得した。
戦記中ではガリア人が極めて薄弱に記述されているが、それも社会体制の変革期であったことなどが細く解説されておりこれもわかりやすい。
8年間にわたる遠征の経路やガリアの部族の地図もあって、内容を理解するのに役立つ。
カエサルとは別の著者が補足的に書いた8,9年目の部分については、解説では「泥沼に入り込んだような・・」と酷評しているが、訳者の力量か、そこまでひどくはない印象だった(ただ、それ以前の文章よりも"劣る"感じのする部分は何カ所かあった)。
解説込みで読み直すと、
(写本で多くの人が手を加えていることを勘案しても)これだけの文章を極めて短時間でまとめ上げるのは驚異的であると感じた。ましてや、手書きのため時間がかかり、紙(羊皮紙)も貴重で推敲も十分に出来ない時代であろうから、その点を含めて恐ろしいほどの才能を持っていたのだと感じる。
最後まで読んでみて「内乱記」も読んでみたいと思う内容だった。