【感想・ネタバレ】「流れる臓器」血液の科学 血球たちの姿と働きのレビュー

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Posted by ブクログ

酸素を運ぶ赤血球、侵入者を攻撃する白血球、傷を塞ぐ血小板。
ほとんどの人が、血液については他の臓器と違いその構成物まで知っている。
だからこそ、本書を読めば、血液について何も知らなかったということを知れるだろう。

赤血球はどうやって酸素を受け取り、どこで手放すことを決めるのか。
白血球はどうやって血中を移動するのか。
血小板はどうやって傷口に集まるのか。

単純な疑問に真正面から回答してくれるが、決して簡単というわけではなく。
例えば「血液が固まる場合と固まらない場合」のメカニズムは
内因性凝固系、外因性凝固系、12種類の因子、抗凝固の4段階のシステムを用いて解説されるし、
”二酸化炭素の運搬”という単純な役割に関しても、『血漿の水分に炭酸(H2CO3)として溶け込み、すぐに重炭酸イオン(HCO3-)と水素イオン(H+)とが解離して、イオンの平衡状態に達し、この平衡状態で肺へ運ばれている。』と説明される。

これだけの複雑性が明らかにされているからこそ、好塩基球の詳細やマクロファージの成熟過程など、わからないことがまだまだあるという事実が際立つ。
血液について、全く知らない人はその奥深さを、よく知っている人はその詳細を知れる、人体理解の入り口となる一冊。

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2021年12月31日

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