【感想・ネタバレ】哀しき半島国家 韓国の結末のレビュー

あらすじ

「コリアの本質を知る最良のインテリジェンス! 世の『嫌韓論』とは次元が違う」……作家 佐藤優。李前大統領の突然の竹島訪問から世界各国で日本の悪口をいいふらす朴大統領の「告げ口外交」まで、最近の韓国の言動に我慢ならない人は少なくないだろう。著者もまた「不愉快千万、いい加減にしろ」という。しかし日本を愛すればこそ、一時の感情に流されることなく、なぜ韓国は愚かな振る舞いをするのか、そこでわが国はいかなる選択をすべきか、を問うべきではないか。おりしも東アジアでは、巨大なパラダイムチェンジが起きている。アヘン戦争以来の屈辱を晴らすべく、中国の膨張はとどまるところを知らない。そのなかで、冷戦時代に当然視された「日米韓」三国連携をも韓国が捨て去る可能性を著者はみる。世界を見渡してもクルドやイラクと同様、コリア半島ほど不幸な地政学的状況にある地域は稀であり、そこで必要とされるのは「基軸」ではなく「バランス」だ。そうした哀しき宿命に置かれたコリア半島住人のもつ独特の概念が、「事大主義」と「小中華思想」。その本質を踏まえた韓国外交の趨勢変化、さらには中国との距離感を、著者は丁寧に読み解いていく。では中国の膨張に加えて金正恩へと代替わりした北朝鮮情勢が不安定化するならば、近未来のコリア半島はどうなるのか――。南北統一か、分裂したままか。それを主導する国は中国か、米国か。本書はそこで中華、コリア半島の二者に加え、その中間で古来より現実の政治勢力と存在してきた旧満州地方(マンジュ)の三者が演じた相克の歴史を一気に概観し、その歴史から「北東ユーラシア地域の地政学」を導き出す。そして、その法則を近未来のコリア半島に当てはめ、10~20年後に起こりうる24のシミュレーションを次々に描き出していく手つきは、まさに圧巻だ。同時に、その24の状況下で、日本がとるべきコリア半島戦略をも明確に提言する。読了後にその結論が、日本の国益を最大化しつつも「韓国とは付き合う必要がない!」という「嫌韓論」とは異なるものであることに、気づくだろう。「伝説の外交官」と称され、最も注目される外交評論家が冷徹な眼で描く、これまで誰も語らなかった韓国論。

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Posted by ブクログ

文字通り、コリア半島の行く末を占った一冊。

マンジュ(満州)を中国の一部と考えず、コリアとマンジュを古代の歴史から振り返って、今後のチャイナ(中国)とのパワーバランスの観点から分析している点が新鮮だった。

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2017年01月15日

Posted by ブクログ

経済雑誌で勧められていたので。

中国、韓国、満州、日本の歴史をマトリックスを使った手法で分析した分析方法自体は目新しかったが、
結論はとくに目新しいものではなかった。

中国の国力の強弱が主要な要因となって、
満州、韓国が協力したり争ったりしている、ということらしい。

それを踏まえて、将来の日中韓の動向も分析されていたが、
マトリックスの個々の内容が煩雑すぎて、
結論まで行き着けない。

前半の方が、個人的なエピソードや知見がちりばめられていて面白かった。

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2015年06月03日

Posted by ブクログ

安倍首相に近い宮家邦彦のコリア分析。

前半は、いろんなエピソードや、過去2千年間の満州地域およびコリア半島を巡る地政学からの歴史を見つめたりと、結構面白く読めた。

「コリア半島が他国との上下関係をつけるとき、決定的に重要なるのは中国皇帝の決める序列である。日本は同半島よりもさらに劣る『東夷』だったに違いない。こうした対日優越意識が、日清戦争後に突如逆転する」

「韓国に文化財が少ない理由は、朝鮮戦争の影響もさることながら、秀吉がコリア半島の文化財を徹底的に破壊したからだと韓国は主張するが、実際には秀吉以前から儒教を重んじる李氏朝鮮が仏教寺院や仏教文化財を徹底的に破壊・弾圧した」

「韓国は他国から侵略されても、他国を侵略したことは一度もないと主張する。だが実際には、8世紀の新羅の入寇、1019年の刀伊の入寇、1274・1281年の元寇、1419年の応永の外寇など、コリア半島勢力が日本に何度も侵攻しているのは歴史的事実だ」

「その東アジアでいま、巨大なパワーシフトが起きている・・・(略)・・・冷戦時代に当然視された日米韓の三国連携も、今の韓国にとっては数ある政策オプションの一つに過ぎない」

ただ後半は、今後のコリア半島のシュミレーションとして、24ものシナリオが長々と展開されるので、ここから読むのが一気にペースダウン。

最後に「韓国と北朝鮮はこのパワーシフトに対応し、それぞれ自らの外交政策を冷静かつ、迅速に再調整し始めた。韓国の原則は、冷戦時代にのみ機能する『日米韓連携』でなく、伝統的な対中華『冊封関係』となった可能性がある」

過去2千年に渡り、コリア半島にとって中華は近すぎ、大きすぎ、かつ魅力的すぎる存在であり、恭順し柵封関係に入れば半島の安全保障は確保できたという地政学的記憶に舞い戻るのは自然の成り行きであるのがよく理解できた。
そうなると、日本の次なる相手はコリアではなく、中国ということになってくる。

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2015年05月18日

Posted by ブクログ

いろんな韓国本が出ていて、どれもなかなか面白いと思っているのだが、結局、具体的にかの国とどう付き合うべきかという方法を提案している本はあまり記憶にない。
そこをこの本は、記述している。
そのために考えるべき状況を色々と条件分けして展開しているのが、主な内容。
ところが、そこをほとんど読み飛ばしてしまった。
元官僚ということらしくて、頭いいし分析も鋭いのだろうが、そういうものが読みたくなかったわけか、つまんなかったのだ。
結局何なのと。
こういうのが読みたい人にはいい本だとは思う。

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2015年03月06日

Posted by ブクログ

まず。この書名はなんとかならんのか。これじゃまるで単なる「嫌韓論」になってしまう。実際は、それとは正反対で有益な地政学的内容。最近の東ユーラシアの状況が明快に理解できる。

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2014年12月07日

Posted by ブクログ

なるほど、内容的には帯に書かれたコピーの通りで、とても冷静で客観的かつ網羅的な整理と考察だと思います。
ただ、あまりに丁寧に網羅的なので途中で読むのが面倒になりますが…(苦笑

題名の「哀しき」とか「結末」という言葉にはバイアスがかかっていますが、これはおそらく出版社がそうした(そう提案した)のでしょう。

内容的には
『「廊下」的な地政学的位置の韓(朝鮮)半島の今後のシナリオと、日本が取るべき対応の考察」
という感じになりますが、これでは全く売れないので…(笑

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2014年11月03日

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