あらすじ
西暦2041年。革新的なネットワーク<オアシス>が張りめぐらされた世界は、深刻なエネルギー危機に陥っていた。
多くの人々はそうした現実から逃避するように、<オアシス>と呼ばれるコンピュータの仮想世界にのめりこんでいた。
ある日、<オアシス>のコンピュータ画面に、突然「ジェームズ・ハリデー死去」のニューステロップが現れた。
ジェームズ・ハリデーとは、<オアシス>を開発し、運営する世界的億万長者。ゲーム界のカリスマ的存在だ。
テロップに続いて、ハリデーの遺書ともいえるビデオメッセージが現れ、<オアシス>内に隠したイースターエッグを一番先に見つけたものに、遺産のすべてをゆずることが宣言された――。
惚れ惚れする作品だ。クラインはこの作品で、間違いなく地球上でもっともイケてるオタクになった(むろん読者はオタクである必要はないが)。
―――――『USAトゥデイ』
素晴らしい臨場感。仕掛けは巧妙で、わくわくしながら主人公たちの探索の旅を追いかけてしまう。
―――――『ボストン・グローブ』
本書は、宝くじでいえば、究極の“当たりくじ”だ!
―――――『ニューヨーク・デイリーニューズ』
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
★★★★☆
ニコニコ生放送で岡田斗司夫が「面白い」と言っていたので買ってみたら当たりだった。
OASISという、セカンドライフのようなバーチャル空間が当たり前になった未来世界が舞台。
そこでOASISを作った天才プログラマーの莫大な遺産を巡る壮大なゲームが展開される。
主人公は両親を亡くして叔母のトレーラーハウスに身を寄せている少年。
彼は、リアルの学校では、貧しさや他人とのコミュニケーションが苦手なことからいじめられ、OASIS内の学校に通っている。
叔母さんも決して良い人ではなく、政府から支給される彼の養育費が目当てで、ろくに世話もせず邪魔者扱いしている。
そんな環境にも恵まれず、金もない主人公だが、遺産争奪ゲームで一躍トップに踊りでたことで彼の世界は一変する。
社会的に弱者である主人公が、自分の運と才覚で華々しい活躍をしていくという、ハリー・ポッター的な王道エンターテイメントだ。
本書の特徴は、そこに80年代のゲームや映画、音楽などがギミックとして散りばめられていること。
今年は『マッドマックス』や『スターウォーズ』の新作が公開されるなど、80年代に縁のある年といえそうだ。
本書はそんな年にうってつけの小説といえる。
主にアメリカ文化が中心なので、聞いたことのない作品も取り上げられるのだが、知っている作品(『ゼビウス』とか『ゴールデンアックス』とか)が出てくると思わずニヤッとしてしまう。
まだ上巻しか読んでないので今後どうなるのかはわからないが、バーチャルな世界なんて捨ててリアルに戻りましょう、なんていうつまらないお説教物語にだけはして欲しくない。
ハリウッドで映画化が決定しているそうなので、そんなに尖った展開になることもなさそうだが、王道エンターテイメントの枠の中でどれだけフレッシュな驚きを見せてくれるのか、それを期待させるだけの魅力は持っている。
さあ、下巻を読むぞ。