【感想・ネタバレ】「バカな」と「なるほど」 経営成功の決め手!のレビュー

あらすじ

『ストーリーとしての競争戦略』著者の楠木建氏が、自著の中で「僕の思考にある日突然、何の前振りもなく絶大な影響を与えた一冊」と絶賛。しかし、1988年発刊ですでに絶版になっていたため、入手するのが難しかった“経営戦略論の名著”を復刊。成功している企業について研究してみると、戦略、組織、人事、工場マネジメント、マーケティングなど経営の仕方が、一見したところ非常識と思えることが少なくない。「そんなバカな」と思わずいいたくなる。ところが、経営者や実務担当者から説明を受けると、理屈が通っており、「なるほど」と納得せざるをえない──そんな、「バカな」と「なるほど」の二つの特徴を同時にもつ28社の成功事例を、本書では紹介している。事例に古さはあるが、本書で述べられている「経営成功のキーファクター」は、今こそ真剣に学び、頭に入れておかなければいけないことばかりである。競合他社との差別化に苦心している経営者・ビジネスパーソンにぜひとも読んでいただきたい一冊。

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Posted by ブクログ

グレシャムの法則ーー「悪貨は良貨を駆逐する」 
日常業務は、いつまでにしなければならないという納期がはっきりしている。その時間に間に合わないとペナルティを覚悟しなければならない さらにやるべき仕事の内容は決まっており、あれこれ迷うこと無く直ちに着手できる

これに対して企業を大きく変えるような計画を立案して実行することは、納期や評価がいずれも明確にきまっていない。

そのため、ついつい日常業務に席をゆずり、後回しにされやすく「10年遅かった」になるのである

松下電機の山下前社長はつぎのように語っている。「社長の仕事は、みんなが納得する危機感を探し出して、全員に自覚させることですよ。 それも第三者の目には順調にいっているように見える時に、危機感を持たせないと、何の効果もない。」(日経ビジネス 1986年1月6日)

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2017年11月12日

Posted by ブクログ

戦略とは何か?
という 源流ともいえる 書。
昭和63年(1988年)に書かれたにもかかわらず、
そこにある 問題意識は 極めて新鮮。
会社をマネージする原理は、あまり変化がないのだ。
情報化、国際化、ハイテク化のなかで、企業はどう対応するのか?

企画とは 『バカな』(違い;差別化)を明らかにする作業であるが
それだけでなく、『なるほど』(合理性)がなければならない。
その二つがあって、着地できる。
違いだけでは 理解がされない。

『べき論』は 現状を維持し、保守的な思考である。
トレンドに基づいた『将来論』が 必要となる。

なぜ 失敗は 隠蔽されるのか?
『失敗』が 会社にとってのイノベーション。
しかし、『失敗』を報告することで、
しかられたり、罰せられる仕組みであれば
当然、隠されてしまうものである。

会社の仕組みは、失敗によって、カイゼンできるという
当たり前のことを マネージメントしておらず
犯人探しや 責任論に終始することで、
会社は失敗しつづける。

グレシャムの法則(組織慣性がある)
ルーチンワーク(日常業務)と革新業務は、
革新業務が 評価され難いし、駆逐される。

特殊化、差別化。
その中で 人事とは どうあるべきか?
2年ごとに 人事を経験させる。
キープ ヤング。
それは 情報化 国際化 ハイテク化に対応するため。

多角化戦略は どう構築するのか?
海外への進出への気構え
女性をわからないで 経営ができるか?

継続は悪であり 変化は善である。
どのような変化をしていくのか?

他人依存ではなく自力。
セレクトが 重要となる。
ハンディを克服するのは、技術力である。

『中国人が得意とするところは、お金であルトか、数量であるとか、目で見える問題については日本人よりはるかに敏感な本能をもっている。品質、時間と言った目に見えないものについては弱い。』
→ここにある 時間というのが 重要なポイント。

いまでも 通用する いい本である。

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2016年03月22日

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成功していている企業の一見「バカな」と思える非常識な経営判断が、よく考えられていて「なるほど」と思わせる合理的なものであったりする。
そんな企業のケーススタディを紹介している本です。

第一部の思考法の章が参考になりました。
「計画グレシャムの法則」のために企業のイノベーションが阻害されるといいます。”悪貨は良貨を駆逐する”という現象を組織論に応用すると、企業は往々にして日常業務という悪貨を優先しイノベーションをための計画業務は犠牲にされてしまうということ。
これに打ち勝つには
・期限や納期を明確にし
・期限などに間に合わなかった時の評価もあらかじめ明確にする
・注意の焦点もはっきりさせる
加えて、定期的に現状を見直し、新しいやりかたに変えること。人は「変えなければならない状態になればいつでも変えられる」という錯覚に陥りやすいものだが、変化に慣れておかなければ必要な時に変化を生み出したり変化を受け入れることはできないものである。とにかく新しいことをするのが当たり前の状態にしておくのが大事。これはプライベートの活動でもそうでしょう。

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2024年09月25日

Posted by ブクログ

「バカな」と言われるくらい他社と異なる戦略。
「なるほど」と納得のできる合理性。
略して「バカなる」。
単なる思いつきでもなく、緻密に考え込まれた論理的なものが成功する戦略には必ずあるということだろう。
事例は古いが指摘されていることは今でも確かにそうだなと思うものが多い。また、他の経営戦略の本にあったなあと思うものもある。たとえば、人選びとは人づくり。ビジョナリーカンパニーにもそんなこと言われていたような。つまりは普遍性のある事柄がたくさん書かれている。

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2019年11月03日

Posted by ブクログ

楠木先生の「ストーリーとしての競争戦略」の核となる概念の着想は、本書から得たとのこと。1988年に初版が出版されたものだが、「ストーリーとしての競争戦略」の影響もあって復刊となった。

「…成功する戦略には二つの条件がなければならないことを教えている。差別性と合理性である。
 差別性とは、多くの企業がとっている常識的な戦略とちがう戦略、つまり非常識な戦略である。平たくいえば、『バカな』といわれるくらい他者とちがう戦略である。
 もう一つの条件は、合理性である。よく考えられていること、理屈に合うこと、論理的であることである。平たくいえば、『なるほど』と納得のできることである。」
「…『バカな』戦略の場合、模倣がおくれやすい。競争会社は『バカな』『あんなことをしたらおしまいだ』などと思っているから、じっとみている。その間、『バカな』戦略の企業は、足元を固め、創業者利潤を享受できる。やがてそのうちに、他者がその『バカな』戦略の成功に気づく。しかし、どう考えてもおかしいということで、なかなか模倣しようとはしない。」

 先日日経新聞の記事で、エア・ウォーターがバイオマス発電所を福島に建設するとの記事があった。インドネシアやマレーシアのパーム油生産工場から出る廃棄物のヤシ殻のほか、東南アジアや北米などから輸入する木質ペレットを燃料に使うとのことで、ちょっと事情を知っている身からすると、これまでだったら、「バカな」で片づけてしまうところだが、何か特別な「なるほど」があるのでは、と考えるようになった。これは収穫である。

「業界間の落差を利用して戦略を発送するという方法からすると、遅れた業界の企業は幸せであるということができる。進んだ業界には答えがいくらでもあり、その答えをみながら、遅れた業界のなかにいる自分の会社のために戦略を発想することができるからである。」
「『バカな』といわれるくらいユニークな戦略を考え出すためには、一般には創造的な思考が必要ということができる。しかし、…ユニークな戦略を考えだすためには、かならずしもとびぬけた創造的思考能力が必要なわけではない。外国の答えをみながら、また進んだ業界の答えをみながら、自分の会社のために戦略の答案を書けばよいからである。」

「戦略を伝達する手段として、六つの方法をあげた。(1)口頭、(2)文書、(3)人事、(4)予算、(5)組織、(6)日常の言動の六つである。」

「…企業には既存事業を維持・拡大させようとする強い組織慣性という力があり、その反対に新しい事業など変化にたいして抵抗する力がある。新事業は、そういう変化への抵抗を克服して、ある意味で無理をして実行される。…新事業を育成し、軌道に乗せるためには、この社内の批判派の抵抗や批判に打ち勝たなければならない。そのときにも、社長などのトップのリーダーシップが重要な役割を演じるのである。」

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2021年08月08日

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後から見ればさすがと思うようなプロジェクトも、最初はバカだと言われるようなアイデアや取り組みであることがある。ストーリーとしての競争戦略のバックボーンとして読んだ。

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2018年06月22日

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◯答えをみながら答案を書くという創造的戦略の発想法を実践するためには、まずなによりも外への関心を持ち続けることが大切である。(59p)

◯戦略を伝達する方法として、六つの方法をあげた。(1)口頭、(2)文書、(3)人事、(4)予算、(5)組織、(6)日常の言動(76p)

◯事務所の机の並べ方も二年とか三年ごとに変えてみる。とにかく変えてみるのである。(143p)

★平易な文章で読みやすい。ケーススタディも豊富。1988年発行の本の復刊であるが今でも通用する。

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2017年06月07日

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楠木氏や三品氏が紹介していた古典?1988年出版ですが、内容は今でも通用することばかりで、会社の経営も本筋はあまり変わってないようですね。紹介されている優秀企業が、30年の荒波で変貌しているのも結構楽しくよめますね。

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2016年03月29日

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優れた競争戦略の2大要素である差別性と合理性を『バカな』と『なるほど』というシンプルかつ本質的な表現でまとめてある。確かにこれは合理的な考え方だ。
それ以上に感心したのは、いくら精緻に計画しても絶対に予測できない事態が生じること、人の考え方を変えるのは絶望的であって戦略にあった人材を選ぶことしかできないこと、継続的に会社を発展させるためには多角化しかないが、新事業の成功率はせいぜい30%程度であること、などどれもいわれてみれば当然と思えるものの、(特に大企業の)リーダー達が無視しがちな真理が豊富にちりばめられている。ただし海外進出に関しては、今となってみれば全く認識が間違っているように思われる。何のために海外に出るのかという所がすっぽり抜け落ちている。これさえなければ★5つ。

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2015年11月21日

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楠木建さんの本で知って読んでみました。
これは面白いですね。企業の成功事例分析などでいろいろな事例があがりますが、結果からの分析が多くて、いわゆる結果論を聞かされることがままあります。この本は、そうではなく、誰もマネしないことで成功していく理由について、非常に納得のいく展開をしてくれます。ただ、(だからこそ)誰でも簡単にはできないだろうな、と思います。いい本です。

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2014年12月16日

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【星:3.0】
タイトルからはわかりづらいが経営学の本である。
そして、この本を読む前に楠木建「ストーリーとしての競争戦略」を読んでからの方がいい。

この本で言っているのは、企業の戦略は「バカな」と思われるような一見して非常識だが、よく考えてみると「なるほど」理にかなっている、というものが良いということである。
何となく当たり前のことを言ってる感じである。

この本がちょっと売れているのは、結構売れている「ストーリーとしての競争戦略」の内容を思いつくきっかけとなった本として楠木健が紹介したからである。

なので前記著書を読んで「良かった」と思う人出ないと感じるところは少ないと思う。

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2022年09月03日

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タイトルが秀逸です。非合理の合理が大事だということである。一見バカだなぁと思われるようなことが少し時間が経つとその他の複合要因が絡まって合成して合理的な結果になる。そんなビジネスが真似されず高い参入障壁を構築する上で大事なんだと思う。

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2022年03月04日

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楠木建教授の働きかけによる復刻本、ということで期待して読んだ。

初出が1980年代後半だけあって、さすがに挙がっている事例は古いのだけど、当時絶賛された企業が今現在どの程度競争優位を維持しているか確かめられる、という点では、公平に読めた。イビデンとか、ちゃんと高収益のまま生き残っている。

この手の、「エクセレント•カンパニー絶賛」系の本は、選択バイアスが綺麗にかかっていて、上手く行った会社の検証を一生懸命やるけど、同じことをやって上手くいかなかった会社の検証は為されないことが大半で、この本もその点は同様なのだが、著者の代わりに歴史が証明した感じでしょうか。

バブル前、バブル期も、企業は生き残りを賭けて、試行錯誤を繰り返していて、漫然と成長した会社なんてないんだなあ、と、いま成熟産業にいる身としては、勉強になった。



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2021年07月04日

Posted by ブクログ

バブル直前の時期、果敢な戦略で急激に成長した企業がいくつか取り上げられています。
平成30年にもなると、その選択はその後の環境に適応できず、倒産しているケースも多いです。

やはり30年以上企業を続けることは並大抵のことではありません。現在のビジネス本で流行っていることも、30年たてば恐らくほとんど通用しないでしょう。

そんな中、女性の力を活用しなくては、という点、これだけは30年ほど遅れてやっと現実になってきた感じがします。

考えてみれば当たり前。
今になってみれば当たり前。
では、30年先の当たり前を、今見つけられるか。

変化を求めること以外に、未来の当たり前をつかむ方法はないと思います。

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2018年05月01日

Posted by ブクログ

「ストーリーとしての競争戦略」の楠木健さんが薦めたことで再び脚光を浴びた、経営戦略の古典。

本書まえがきでも、楠木さんのおかげでまた売れてうれしい的なことが書いてあり、偉い先生なのに謙虚で面白い。

最近の経営学は、科学的というか、金融工学や統計学的アプローチで、ある程度客観的に評価できる理論でないと評価されにくいのだろうが、どんな理論の前にも直感的洞察・コンセプトメイクは必要なはずで、本書の「バカな」と「なるほど」理論は良い観点を提供してくれる。

経営戦略と言うと、すぐにSWOTだのPESTだの、誰がやっても同じような切り口の分析をして、出てくるのはおよそ戦略とは呼べない既存の延長だったり、あるいは競合との差別化だけを強調したものだったりすることがありがちだ。

「バカな」と「なるほど」を読むと、(SWOTとかもやっているのかもしれないが)大切なのは経営者の先読みと意思であることがよく分かる。

古典なので事例が古く、(ストーリーとしての…と違って)人にしゃべりたくなるような内容ではないが、分析マニアになる前に読んでおくべき一冊。

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2016年02月23日

Posted by ブクログ

前半は面白い。中盤は理論が定性的でデータも古い。なぜそうなったかを解析しているが、どうしたらいいかは書かれていない。十分条件か必要条件かどちらでもないのか切り分けがされておらず納得できない部分も多い。

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2014年11月29日

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