あらすじ
ツーショットダイヤルで命を落としたエリート医師の妻、我が子の局部を切断した母親、親友をバラバラにした内気な看護師……。殺した女、殺された女。際限ない欲望、ついに訪れた破滅。彼女たちは焼けるような焦りに憑かれて「本当の私」を追い求め、狂い、堕ちた。女性が主役を演じた13事件の闇に迫る圧倒的ドキュメント! 女の自意識は、それ自体、病である。これは、あなたの物語。
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Posted by ブクログ
実際の事件を元にしたフィクション。
一見、短絡的で、荒唐無稽であり、同じ人間として感情を理解できない事件の加害者、被害者たち。
しかし、著者の「自分の物語」とする力によって登場人物たちの行動に合点が行ってしまう。
作家の想像力はすごいとよく言うが、
これほどまでに様々に過剰な登場人物に帰依し、感情、場景を描き出せる著者の物語もそうとうにグロテスクなものだろうと想像できる。
しかし、自分の行動を著者のように言語化できずに、恐怖し、焦燥する日々(なんとなくモヤモヤする的な感じ)はもっと地獄である。
特に記憶に残ったのは「第十一章」の物語。あとがきにも触れられているが、読み返すのもしんどいので止めることにする。
Posted by ブクログ
「自分という病」というエッセイで東電OL殺人事件の被害者女性に感情的に馮依・同化して、女視点で赤裸々に肉薄をした筆者の、肉薄同化シリーズの続編。
事件の被害者女性・加害者女性に中村うさぎが馮依・同化して、突き詰めて抽出する女(特有)に自意識は、多分男女問わず共感を引き起こすものが多かったのではないか。少なくとも自分は、部分的には「自分の物語」として読んでいるモードに入っていた。とくに
やおい漫画作家殺人事件被害者の『謎めきたがる癖」には少し共感してしまった。底の浅い人間だと思われたく無いという想いが自分には強い気がする。
ちょっとこれも怖いけど面白い話しだった。
Posted by ブクログ
事件をテーマにした本はよく読むが、ここまで筆者が加害者側に寄り添った本は珍しいと感じた。
女性たちがどのように自己を肯定していくのか、といったことを中心に様々な考察がされており面白い。
中村うさぎさんは自身と加害者女性に重なり合う部分が多い、と語っており自らの体験なども記述しているが、正直私が共感できる部分は少なかった。
本書では「あらゆる女性に当てはまる感情」として事件に関わる女性たちの内面が描かれていたが、必ずしもそうではない気がする。女性が生得的に持っている感情というよりは家庭環境や交友関係などから後天的に得られるものなのでは??と思った。事件に関わる女性たちがどのような環境で育っていったのか事実ベースでもっと知りたい。
少なくとも「女はなにものでもない自分自身を肯定できない」「女の価値は男性に愛されることで決まる」というのはあまり共感できなかった…。
読み物としてはどんどん読み進められてとても面白い。