あらすじ
ヨーロッパ、インド、中国、中東の文明圏の彼方で、生き抜いてきた遊牧民たちの領域が中央アジアである。絹と黄金を運んだ悠久の交易路シルクロード。多くの民族と文化の邂逅と衝突。アレクサンドロス大王とチンギス・ハーンの侵攻……。仏教・ゾロアスター教・マニ教・ネストリウス派そしてイスラムもこの地を経由した。中央アジアの雄大な歴史をコンパクトにまとめた入門書。(講談社学術文庫)
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Posted by ブクログ
古代から東西南北あらゆる方向から民族が侵入し、滅んでいくか、何処かにいくか、定着した。日本人には想像がしにくい世界を、古代から1970年代まで丁寧に紹介している。書かれた年代には、新石器時代辺りの歴史がほぼ不明だったが、最近の学術成果を取り入れた興亡の世界史で確認したい。
Posted by ブクログ
中央アジア通史。ソビエト連邦から独立してアジアに入ったカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタンの辺り。宗教も民族も入り乱れ、北にはロシア、南にはインド、西にはペルシア、東には中国にモンゴルがあり、古くはギリシアもやってきた。知らないことばかりだったけれど、わかったようなわからないような気分。遊牧民の生活をしたらなにかわかるのかなあ。
Posted by ブクログ
中央アジアの歴史というと、シルクロードのオアシス都市をすぐに連想する。
中国史において西域との関係として史書に登場するほか、時代降ってチンギス汗のホラズム征服、あるいは近世ロシアの南下政策における関係などで対象となることはあるものの、ティムール帝国の勃興といったトピックを除いては、世界史における取り上げ方として従来は、周縁的な位置付けだったように思われる。
最近でこそ中央ユーラシア史として捉える見方も増えてきたが、本書は中央アジアに焦点を当てて、その先史時代から現代(親本刊行時の1970年代)までの歴史を叙述したもので、取り上げる時代について精粗はあるものの、一般読者にとっては基礎的な知識を得るに適当だと思われる。
一口に中央アジアと言っても、パミール高原から天山山脈にかけての地理的な障壁や環境の違いによって、東トルキスタンと西トルキスタンに大別され、その歴史にも大きな相違が生じた。その辺りが丁寧に説明されている。
著者は、その戦い方や後世に残した影響などからチンギスに厳しくティムールの評価が高いが、この点についてはモンゴル帝国評価の時代的なものもあるのかなあと感じた。
地図も載せられているのだが、広大な中央アジアが対象なので、もう少し分かりやすい地図が欲しかった。
Posted by ブクログ
2014/4/18
砂漠とオアシスの未知の国、中央アジア。侵略と興亡でさまざまな民族が、人の往来を阻む砂漠や急峻な山脈を越えて通り過ぎる。ロマンチックである。考古学が強い著者なのか、古い時代は詳しく、新しい時代は駆け足のようだ。モンゴルから分裂したハン国のその後を詳しく知りたかったのに、あまり書かれていなかった。
Posted by ブクログ
これを読んでさらに分からなくなりました。(笑
中央アジアの歴史の変遷というものは本当に激しく、ヨーロッパや中国などの比ではない。地元の勢力はあるものの、それより強大な帝国が時期ごとに東西南北すべての方向から波のように押し寄せてくる。これでは確かに安定的な政治体制の確立自体が難しい。
それでなくても、定住できるオアシスが限られているので遊牧民が多く、都市的な発展をしにくかったという事情もある。読めば読むほど、今も燃えている火種がいかに消しがたいものかということはわかる。
叙事詩のように淡々と各時代各帝国の英雄たちが現れ死んでいくので、テンポはいいが頭に入りきらないところもある。このような落ちこぼれのために最後に年表もあるのはちょっと嬉しい。