【感想・ネタバレ】ハンニバル 地中海世界の覇権をかけてのレビュー

あらすじ

エブロ河を越えアルプスを越え、南イタリアの地カンナエでローマ軍団を打ち砕いたハンニバル。戦いに勝ちながら、最終的にローマという果実を刈り取らなかったのは何故なのか――。地中海世界の覇権をかけて大国ローマを屈服寸前まで追いつめたカルタゴの勇将、アレクサンドロス・カエサル・ナポレオンに比肩する天才の戦略と悲劇的な生涯を描く。(講談社学術文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 映画でハンニバルが引用されていて興味が湧いて。名前とアルプス越えは有名だがそれ以外は初めて知った。ハンニバルの故国であるカルタゴの場所もどういう国だったのかもまったく知識がなくアフリカにあったのは意外だった。無意識のヨーロッパ優越史観が強いのだろう。紀現前の世界はとても遠く文化的でないイメージがあったが、調べてみると古代ギリシャ、ローマ時代は西ヨーロッパよりも東ヨーロッパ、地中海周辺が発展していた。ハンニバルもそういう時代で活躍した人物なのだ。
 ハンニバルについての一次資料は無く、二次資料もローマ側の資料になるのでかなり歪曲されている。それでも資料があればまだいいのだが資料がまったくなく推測の域をでない部分が多い。本当のハンニバルを知ることは不可能のようだ。アルプス越えにしても最初と最後が分かっているだけで途中のルート等々は様々な説があるという。ハンニバルがなぜローマを攻めたのかという根本的な理由さえはっきりしない。
 面白いのはハンニバル、カルタゴ軍が20年近くイタリア半島のなかでローマ軍と戦っていたことだ。相手の領土の中に20年間も留まるということは現在からは想像がつかない。古代ローマが都市国家の集合であったこと、冬は戦争ができなかったことなどが原因のようである。
 カンナエ決戦は見ごたえがある。ハンニバルの指揮がいかんなく発揮され歴史上に残る大勝利だったようだ。ハンニバルはイタリア半島にはいってから現地で兵士を調達した。人を惹きつける魅力を持ち、優れた戦略家だったということは確かなようだ。

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2013年10月16日

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