あらすじ
危機を乗り越えて強くなる異色のマネジメント物語。2005年に起こった、世界を揺るがした製品トラブルを糧に、ますます過激に独自の人材マネジメントを追及するようになったトレンドマイクロの一風変わった経営哲学を創業者によるやさしい語り口で読む。
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Posted by ブクログ
ウイルスバスターで有名なトレンドマイクロの創業者夫人の自伝。
トレンドマイクロは、コンピュータのセキュリティという市場に目を付けて起業し、ICTの発展とともに成長してきた。
日本での上場、開発ミスによる危機、後継者への委譲など、当事者だけが知る内容が生々しく描かれているのがとても勉強になる。
物語を通じて、中心となっているテーマは企業文化である。
会社の規模が大きくなり、グローバル企業となって多様な人材が働くようになった時に、どのようにして起業当時の俊敏性を維持するか。
本書では、企業理念が大切だと説く。
企業理念を作った会議の状況、社会の変化に合わせて理念も変えることになり、組織全体に変化をいきわたらせたワークショップはとてもユニーク。学習する組織の手法も取り入れており、この方面の興味も満たせる。
半面、著者はもともと文学を志していたらしく、本書でその夢をかなえようとしており、文学的な表現を随所に取り入れている。これについては、中国文学の特徴なのか、翻訳の問題なのか、経営の物語における没入と比較すると興ざめしたのが残念。