あらすじ
東京から南へ二百二十キロ。太平洋に浮かぶ巌倉島は、イルカの棲む島として知られている。平和なこの小島で、動物行動学者・比嘉涼子は環境保護NPOの一員として、イルカの生態調査に従事していた。だがその平穏な日々は、突然出現したシャチの群に破られる。島のイルカたちを救うために、一頭のシャチ=モビィ・ドールへの追跡が始まった……。海に生きる生命を鮮やかに描く海洋小説の傑作。
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Posted by ブクログ
動物保護、捕鯨問題、性同一障害などの社会的な問題を含みつつイルカの可愛さや主人公のほのかな恋心も共感できてあっという間に読み終えました。
シャチがイルカを襲うシーンはハラハラし通しでしたがなぜかシャチにも愛おしいと思う感情が芽生え、最後に仲間のシャチが困ったシャチを皆で迎えるシーンは胸に迫るものがありました。
次々イルカを襲うシャチを捕獲するにも行政の複雑な問題があり難しいのだなと考えさせられることが多かったです。
主人公の恋愛も大人の恋愛らしくいい終わり方でよかったです。
Posted by ブクログ
御蔵島をモデルにした架空の島での、不思議なシャチとの邂逅。なぜか潜る事が出来なくなったダイバーの青年とイルカの研究者である主人公の女性との色恋的なことはどうでもよくて、ひたすらイルカやシャチの姿が素晴らしく、ついシャチの生態についていろいろ調べてしまった。
Posted by ブクログ
平成20年11月19日購入
クマもオルカも人間です。
と言いたくなる。
「邂逅の森」ほど感動しないのは
人知を超えた何物も登場しないからだろう。
なんだか世界が狭い気がする。
あ〜正直、殺せないなら書くなよ、と言いたい。
まあ厳しいことを書いたが
物語であるからこうでないといけないのかもしれない。
オルカが死んで(というかオルカを殺して)
そのあとをさらに物語として書ききるというのは
筆の力だけならできるかもしれないが
やはり作家としていかがなものかという気もするし。
不満ばかり書いたが実際はまあ面白く読めた。
この人はじつは自然と絡ませないほうが
上手にものが書けるのではないか?と思う。
Posted by ブクログ
主人公はイルカの研究者として、NPO法人鯨類鳴音研究所に所属する女性。新しくやってきたダイバーがひどくクセのある性格で、最初は喧嘩ばかりしていたのだが……
恋愛小説としては主人公にあまり共感できなくて、特に大きく心揺さぶられることもなく読み終えてしまったのだけれど、海洋小説としては非常に楽しく読みました。イルカやシャチの生態、行動と文化、彼らを取り巻く状況。
前にアンソロジーで読んだ、同じ方の東北の漁師を主人公にした短編が非常に印象深かったので、この方はぼちぼち何作か追いかけてみようかなと考えています。