あらすじ
世界的免疫学者である著者が、初の留学で住んだ1960年代のデンバー。下宿先の老夫婦との交流、ダウンタウンのバーに通って知った豊かなだけではない米国の現実。戦争花嫁だったチエコとの出会いと30年に及ぶ親交。懐かしくもほろ苦い若き日々――。回想の魔術が、青春の黄金の時を思い出させる。そして脳梗塞となって、その重い病との闘いのなかから生まれる珠玉の言葉。自伝的エッセイ。
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Posted by ブクログ
メインは前半の3篇。デンヴァーの研究所に留学していた時に知己になった3人の女性――下宿の大家の老婦人、バーメイドの中年女性、中華レストランの日本人ウエイトレス――それぞれへのレクイエム。よもや自分がこういう形で人の心に残るとは思ってもいなかったかも。
後半には、免疫学者ニールス・イェルネ(1984年ノーベル賞受賞)についての一篇もある。聖者のような、ただの偏屈者のようなイェルネ。遠巻きに心酔する著者。これも静かなレクイエム。
興味深かったのは、著者が「玉」を取り去った話。前立腺がんの治療のためだったが、風通しがよくなって、そして嬉しいことに煩悩もなくなった。その夜見たのは「羽化登仙の夢」だったという。
単行本は2009年11月刊。著者はその半年後76歳で逝去。
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【本の内容】
世界的免疫学者である著者が、初の留学で住んだ1960年代のデンバー。
下宿先の老夫婦との交流、ダウンタウンのバーに通って知った豊かなだけではない米国の現実。
戦争花嫁だったチエコとの出会いと30年に及ぶ親交。
懐かしくもほろ苦い若き日々―。
回想の魔術が、青春の黄金の時を思い出させる。
そして脳梗塞となって、その重い病との闘いのなかから生まれる珠玉の言葉。
自伝的エッセイ。
[ 目次 ]
1 春楡の木陰で(春楡の木陰で;ダウンタウンに時は流れて;チエコ・飛花落葉)
2 比翼連理(比翼連理;羽化登仙の記;百舌啼けば;わが青春の小林秀雄;花に遅速あり ほか)
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