あらすじ
僕が書店で一目惚れした美しい女性・高野秋。彼女は左手首にいつもふたつの時計をはめている。そして僕は気づいてしまった。彼女にきざす孤独の影に…。ふたつの時計に隠された、重大な秘密。恋人たちを襲う衝撃の真実とは?日常の謎から人の心の綾をロジカルに解き明かす、異色の恋愛ミステリー。東川篤哉によるショートショート「鵜飼と朱美のまっすぐ進まない解説」収録 。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
まっすぐ進むのは難しい。主人公の名前は「直幸」。幸せに向かって真っ直ぐ進む……という名前だけれど、本人は「行き先は分からない」と嘯く。
彼は一人の「美しい人」――高野秋を見かけて、彼女の腕にはめられた二本の腕時計を気にするようになる。二人は知人を介して知り合い、そして腕時計の「謎」を解いた直幸は秋と付き合い始める。けれど、直幸が本当に腕時計に秘められた事実を知るのは、この本の最後の話だ。
果たして直幸が秋に話した説が、正解なのかは分からない。今となっては知ることもできない。
それでも彼の説は過去に残って迷い続けていた秋を、まっすぐ導いてくれることだろう。
石持浅海さんの作品は、常識や、ときには倫理観までぶち壊して結末へと私を導いてくれる。
全部が全部好きな作品というわけではないが、迷ったとき、立ち止まって考えたくなったときに読むと、頭をリセットしてくれるような気がする。
また、じんわり好きな作品が増えた。