あらすじ
同級生の姉に連れられて訪れた古い家屋。軒下には文化祭のセットで作ったはりぼての風呂。彼女はここで汗を流せと自ら服を脱ぎ始める。グロテスクな不条理の世界が選考委員の度肝を抜いたホラー大賞短編賞受賞作!
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短編4作品の中、わたしのベスト1は『浅水瀬』だろう、この話には本物が持つ真の怖さがある。無理に怖がらせたり、設定が突飛じゃないのが良い。背筋が寒くなる感じは日本ならではの恐怖なのだ。このお話を読んで、過剰な驚かしや、苦痛をともなう恐怖は似非恐怖なのだあらためて思う。
表題の『余は如何にして服部ヒロシとなりしか』は、ヒロシの姉、サトさんがとてもエロい。彼女の尻に魅せられて30男が我を見失い、ふらふらとその後を付いていく様は、まるで食虫植物の蜜に誘われて命を落とす昆虫の姿を思わせる。
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作品解説(カバーより):クリクリとよく動く尻に目を射られ、そっと後をつけた女は、同級生服部ヒロシの姉、サトさんだった。ヒロシなら、すぐ帰ってくるよ――。風呂に入っていけと勧められた鍵和田の見たものは、緑色の張りぼての風呂桶。そこに裸のサトさんが入ってきて……。
第12回 日本ホラー小説大賞 短編賞受賞作
表題の他「浅水瀬」「克美さんがいる」「あせごのまん」を含む計四作。たしかに斬新さはあるものの、ホラー小説大賞として読んだ場合、むしろ、怪談じみた「浅水瀬」や、人間の怖さを描いた「克美さんがいる」に恐怖を感じる。「あせごのまん」は日本昔話を読んでいるようで面白いが、ホラーというジャンルではないだろう。
それぞれ短編としてまとまってはいるが、後一押し欲しいところ。
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2015年、21冊目も完全初読みの作家、あせごのまん。
2005年、第12回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作含む短編を四編収録。ちなみに、この年の大賞は恒川光太郎の名作『夜市』。
収録順に簡単に触れていきましょう。
「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」
失恋し、仕事も失った鍵和田。前を行く女性の尻に目を射られ、その後をつけていくと……。
ホラーというより、生理的嫌悪感を伴う、不条理モノと言った感覚。正直、あまり好みではなかった。
「浅水瀬」
米田健一は大学院受験の初日試験を終え、バイクで帰路につく。バイクをトバしていると……。
ホラーでは比較的ありがち、オーソドックスな中身。ソレも含め、オチの予想は早い段階でついてしまった。主人公の性格が自己中心的で、歪んでるのも後々効いてくる。
「克美さんがいる」
家族の死。保険の証書や銀行の預金通帳を探していると1冊のノートを発見するのだが……。
ミステリー・ホラー的な感じ。コレも特に目新しさは感じなかった。もぅ一、二捻り欲しいかな。
「あせごのまん」
阿波と土佐の境、阿瀬郷という土地。ソコの炭焼の家に子どもが生まれる。名は「まん」。「まん」は成長すると……。
民話的な話が土地言葉で語られているのが新鮮。イイ感じなんだけど、ラストが弱い気がする。
好みは「あせごのまん」「浅水瀬」「克美さんがいる」「余は如何にして~」の順かな……。★2.5~2.8で、甘めの★★★☆☆評価。
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僕は、もうすぐ31歳になる。
昨夜、彼女にふられてしまい、
そして、今朝、仕事もやめた。
そんな時、前を歩いていた女性の、
色っぽいお尻に魅せられて、
ついつい、後をつけてしまったのだが、
偶然にも、彼女は、
同級生だった・服部ヒロシの姉のサトさんだった。
言い訳がましく、ヒロシに会いに来たと言ってしまった僕。ヒロシなら、すぐ帰るから、風呂にでも入って待っていたら、と勧められ、そこで彼が見たものは。。。緑色の張りぼての風呂桶。
そこに、裸のサトさんも入って来て、僕は、不思議で異様な体験をすることになる。
文化祭で使った、張りぼての風呂桶、
そんなお湯のない風呂桶で、身体を洗う?2人。。。
なにやってんの?!と、想像するだけで、笑える。。。
でも、これはホラーじゃなかったっけ?と思いつつ読み進むと、
確かに、ばかばかしい中にも怖さを感じる。
サトさんが用意してくれる不思議な食事の実態を知った時。。。
魚の目を切り取って神経を取り出すシーン。。。
庭の樹に吊り下げられてる緑の物体の正体を知った時。。。
など、さまざまなシーンで「ぎゃ!!」と叫びたくなる。。。
この本には4編が収録されているが、
意外な結末としては「克己さんがいる」が面白かった。
ん?ん?と読み勧めると、ふーん、、、そうだったのかぁ。。。って。
好き嫌いが別れる作品かも。。。
Posted by ブクログ
これは結構な拾い物かも。不条理としか言いようがない表題作はインパクト十分。怖さと笑いが絶妙に融合してなかなか味わい深い。しかし、万人受けがしないのも事実。意外にホラー作家としての幅が広いようなので、これからに期待したいところ。