あらすじ
女手一つで娘の奈保子を育てた花江。その奈保子が出産のため里帰りしていた。かつて奈保子には弟がいたが、不慮の事故で亡くなっていた。過去の大きな喪失と、静かに向き合って生きてきた母娘の慟哭を、切なく繊細に描いた表題作。他に、幼稚園で他の子供とうまくやっていけない息子に苛立ち、人間関係に追いつめられていく母の孤独が胸に迫る「ちいさな甲羅」も収録。
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Posted by ブクログ
『ちいさな甲羅』あの頃を思い出し胸がいたむ。
一番に子どもの心配をしてあげたいのにママ友の視線、仲間はずれを気にしていた。過ぎ去ってみたらママ友との付き合いは私はあれ以来無いけど、あの頃は世界があの小さな世界しかなくて、夫は忙しく話を聞いてくれない、ワンオペで疲れ切ってた。ママ友で悩む方が読んでたら、ぜひ自分の子どもファーストで突き進んでほしい。本当に読めば読むほど朝比奈さん上手い!
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女手一つで娘の奈保子を育てた花江。その奈保子が出産のため里帰りしていた。かつて奈保子には弟がいたが、不慮の事故で亡くなっていた。過去の大きな喪失と、静かに向き合って生きてきた母娘の慟哭を、切なく繊細に描いた表題作。他に、幼稚園で他の子供とうまくやっていけない息子に苛立ち、人間関係に追いつめられていく母の孤独が胸に迫る「ちいさな甲羅」も収録。
3歳の息子を事故で失った母親の悲しみ、苦しみ。
6歳の息子に苛々して、幼い相手に理不尽な物言いをして苛めてしまう母親の悔い、苦しみ。
似た立場にいる私にとっては、リアルで痛かった。
読むのが苦しかった。
表題作、息子を助けてやれなかった、言葉の遅い息子に苛立っていた母親に、訴えかけるような息子の言葉。
読んだ瞬間に、涙が溢れた。
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二つの母の話。
自分に重なる部分が多く一気読み。
「ちいさな甲羅」息子の起こしたトラブルからママ友の付き合いが難しくなる。一番守らなくてはいけないはずの息子のケアよりも、ママ友枠から外されないよう必死になって、ボロボロになっていく…でも、救いは頼りになる旦那さんがいたこと。もう、ママ友呪縛から卒業した私。特にトラブルもなかったけど、ピリピリしてた事を思い出した。
「声を聴かせて」は出産で里帰りした娘に子どもの頃のいじめを告白される。かなりショック、気づいてあげられなかった自分を責めてしまうだろうな。
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過去の大きな喪失を引きずる母娘を描く表題作「声を聴かせて」と、幼稚園の人間関係に追い詰められ孤独感に苦しむ母親を描く「ちいさな甲羅」の中篇二作を収録。
心理描写の巧みさに圧倒される。登場人物の気持ちが伝わって心が重くなる。息苦しくなる。結末も決して明るいものではない。作者のメッセージと力量がストレートに堪えてくる。
「不運は、時に、神様が目隠しをして打つダーツの矢のようだ。前触れもなく、因果もなく、意味さえもなく誰かを刺す。その人生の向かう先を、決定的に変えてしまう」という言葉が、重く鋭く致命的に心にのしかかる。
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主人公たちは、自分で心のモヤモヤを乗り越えて次のステップへと踏み出しているけれど
ボスママにしたって、娘が受けたいじめにしたって、何一つ解決はしていないので、こちら側にはモヤモヤが残ってしまった。
そういうところが現実的だなと思う。
子供への思いが1人の人間の生き方、考え方まで変えてしまうことがあると思うと、少し怖いなとも思う。