あらすじ
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毎日のあいさつや人名、地名、祝祭日、ライフスタイルなどに密接に関連したキリスト教の言葉と精神――その由来と意味を簡明に説く。欧米人の性格と価値観を伝える国際化のためのガイドブック。(講談社現代新書)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本人が外国のことについて語るとき、どうにも宗教について無頓着すぎる印象をいだくことがある。そういうときに感じるモヤモヤした気持ちがこの本ですっきりした。
Posted by ブクログ
毎日誰かしらの聖人の日。
面白いとも思うし、一方ではちょっと大変かも、とも感じる。
御公現祭、聖灰の水曜日、聖パトリックの日、シュロの主日、聖水曜日、過越の祭、復活祭、感謝祭、クリスマスといった宗教の記念日の過ごし方。
洗礼に始まる、人生の節目ごとの儀礼。
政治家のスピーチや、映画の中に見られる聖書や、神に関わる言葉。
こんなふうに、本書では、たくさんの切り口から、生活の中に息づくキリスト教のことが示される。
本書の中で好きなのは、映画『ブラザー・サン シスター・ムーン』からのもの。
フランシスコ(聖フランチェスコ)が、女性に心を動かされて自分を責める弟子に、「貞操の誓いは規律ではない。それぞれが自分のできる範囲で神を愛すればよい」と許してやるところ。
残念ながら、平和や愛を説くキリスト教が、むしろ不寛容や争いを生んだ過去を知っているので、むしろ戦闘的な宗教というイメージがある。
が、このエピソードには、懐の深い部分もあるのかも、と思わされた。
私はクリスチャンではないので、クリスマスも祝わないし、十字架のデザインのアクセサリーも身につけたくない。
敬虔なクリスチャンをしっているから。
けれど、本書の中で、何度も、日本人がクリスチャンでないのに教会で結婚式を挙げたがったり、クリスマスやヴァレンタインやハロウィンでお祭り騒ぎをするのを批判されると、ちょっと複雑な気分がする。
人は変えられない。
目くじら立てずに、放っておけば、と言いたくなる。
日本では、明治以降、知識人層にキリスト教が受容されていった経緯があるせいか、何か権威主義と結びつくきらいがある気がする。
そういうものを感じてしまうのかも。
Posted by ブクログ
レバノン人(日本人と結婚して来日)の著者が
キリスト教とその文化について
わかりやすく解説した本。
キリスト教の分類やそれぞれの宗派の話、
またそれにまつわる欧米の文化も
非常にわかりやすい。
ただ、それは「入門編」という意味であって
詳しい人には物足りないかもしれないなと思う。
個人的に面白かったのが
映画の中のあのワンシーンが
実は宗教的な意味があるという話。
例えば『シルクウッド』のあのシーンは……という具合。
映画にしろ他のものにしろ
宗教的背景を知っていればもっと楽しめるものは
たくさんあるのだろう。
Posted by ブクログ
映画をよく引用していたり、ご自身の体験等はエッセイ的で読み易い。
キリスト教的内容の映画紹介は『ニュー・シネマ・パラダイス』ぐらいしか観てないけど、イメージし易いので参考になりました。
キリスト教に関するジョークは謎かけっぽくて好きです。
Posted by ブクログ
特定の宗教を持たない多くの日本人にとって、宗教による国際的な対立や、個人の行動規範などは理解しづらいものだろう。本書ではキリスト教徒について著者の経験を参考にしながら語られている。記念日や儀式などについて知ることで、キリスト教が日常に根付いていることが分かった。具体例が多いので、参考になる反面、物足りないという感じもした。
Posted by ブクログ
キリスト教にまつわる文化等について。キリスト教への知識なしに西洋を理解することは難しい、という著者の主張はその通りだと思います。内容はカトリックにやや偏っているようにも感じられましたが、映画のシーンや政治家の発言、ニュースの端々に現れてきたキリスト教的考えが詳しく説明されていて興味深い。後半にあった聖書ジョークは笑えましたw
Posted by ブクログ
キリスト教文化圏の人々の、キリスト教に根ざした日常生活の常識の解説。日本的な多神教的、汎神論的な無宗教(無神論ではない)との違いに着目して、キリスト教徒の心情が分かり易く書かれている。宗教的な押しつけがましさは少ない。しかしやはり、日本の宗教的風土に対する記述に若干の齟齬を感じてしまう。
Posted by ブクログ
キリスト教の文化や習慣などが紹介されている。『聖書の英語の物語』(上記)同様、著者のお説教的な態度は気にいらないが、簡単なことだが知らなかったことやあやふやなことも解説されている点は役に立った。
ところでやはり、著者が自分のキリスト教観を日本人に押し付けている感じが本書にも漂っている。真の「国際化」のためには日本人もキリスト教圏の外国人と接する時にはキリスト教の習慣を身につけなければならない、というのが著者の理屈だが、どうも著者や、この意見に賛成する人は「国際化」「国際人」という意味が分かっていないのではないかと思う。「郷に入っては郷に従え」というのはもっともなことだが、国際化とはそういうことではない。国際化という言葉の下で重要なことは文化的相対主義であって、日本人がキリスト教の文化や習慣を理解するとともに、外国人の人も日本人のやり方を理解すべきであるということだ。日本人がキリスト教の文化に従わなかったからといって、「残念だ」と思うのは「国際人」の態度ではない。日本人のことを知らないでキリスト教に従わない日本人の態度を「残念だ」と言う人がいること自体が、国際化という枠内においては「残念」である。特に、「真似る必要はない」とは断っているものの、国際社会においては、日本人も外国人と同様にキスや抱擁をすればいいのに(pp.203-204)などといった著者の態度は「国際人」という視点からはとても受け入れられるものではない。
以上の著者の態度さえ差し引けば、この本はキリスト教文化についての入門書として良い本であるということになる。