あらすじ
アフリカに誕生した太古の人類は、やがて世界の各地に向けて旅立ちます。それが、「グレイトジャーニー」と呼ばれるものです。その足跡を、科学的に追跡する方法として現在、注目を集めているのがY染色体の変異であるハプロタイプの解析です。それによれば、ユーラシア大陸の東の地域には、時を隔てて都合、二回の人類の集団移動があったことが分かっています。本書は、ユーラシア大陸の東側における古代文明と王朝の興亡の足跡を、司馬遷『史記』の読解と、Y染色体のハプロタイプ解析などで追いかけます。歴史に造詣の深い稀有な科学者である著者だからこそできる力業で、中国・韓半島・日本列島を巻き込む歴史の激流の跡と人間たちの移動のドラマを、生き生きと壮大なスケールで再現を試みます。日本という国家はどのようにして出来上がってきたのか。出雲と邪馬台国、大和朝廷の関係を、どう読み解けばいいのか。『古事記』『日本書紀』に隠された「日本建国の精神」とは何か?「記紀」の成立に直接・間接に関わった藤原家一門が、「記紀」に込めた真意とは何か?藤原家の先祖・中臣鎌足が関わった「大化の改新」の意味とは?著者の大胆な推理力が導き出した答えは、私たちの想像を超えるものでした。
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理解しやすく興味をそそる
中学の社会、高校の歴史が、苦手でした。授業や教科書は、物事・事象の羅列だけで、結果に前提たる原因・背景・由来があるはずなのに一切、踏み込まない空虚なものでした。司馬遷は科学者の知見から多くの書を残した。歴史上の記録の多くは、時の権力を正当化するように編纂されたものだが、書物を執筆した者が科学的見地で史実を後世に残すため、後の知識人に事実が読み解けるように工夫して書いたならば、古事記や日本書紀の真実はこのように理解できるはず。