あらすじ
英和辞書の訳語は役にたつ。先人の知恵がつまっているからだ。しかし過信は禁物。英語と日本語の意味の重なりとずれを知らなければ誤訳・迷訳が生まれることに。本書は、当代きっての翻訳家が基本英単語の意味を英英辞書で調べ、代表的な英和辞書の訳語を探し、国語辞典で日本語の意味を確定し、インターネット上の英文でその訳語が使えるかを判断し、使えるケースはどのくらいの比率かをはじき出すという方法で、だれもが覚えている訳語の常識を洗い直した画期的な翻訳術入門である。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
英和辞書の訳語は役にたつ。
先人の知恵がつまっているからだ。
しかし過信は禁物。
英語と日本語の意味の重なりとずれを知らなければ誤訳・迷訳が生まれることに。
本書は、当代きっての翻訳家が基本英単語の意味を英英辞書で調べ、代表的な英和辞書の訳語を探し、国語辞典で日本語の意味を確定し、インターネット上の英文でその訳語が使えるかを判断し、使えるケースはどのくらいの比率かをはじき出すという方法で、だれもが覚えている訳語の常識を洗い直した画期的な翻訳術入門である。
[ 目次 ]
AS WELL ASは「~と同様に」か
BYは「~までに」か
CLAIMは「クレーム」か
「コンテンツ」はCONTENTSか
DEBTは「借金」か
DEFINEは「定義する」か
DO NOT HELPは「助けない」か
EVENTは「イベント」か
EXPECTは「期待する」か
EXPERIENCEは「経験」か〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
翻訳者の著者が、いわゆる学校で習う定訳通りだと意味がとれない、不自然になる例文を提示し、語のニュアンスや使われ方を考察したもの。4分の3は中高で習う定番の単語を取り上げて、例えば「experienceは『経験』か」、「historicalは『歴史的』か」、「traditionalは『伝統的』か」などがある。あとの4分の1はカタカナ語にもなっている、claim, contents, event, global standard, naiveのような単語もあるし、エッセイみたいになってしまっているが、youやheといった人称代名詞を扱った章もある。
予備校の授業なんかで、例えば「defineをなんでもかんでも『定義する』と訳して、訳分からん和訳にするなよ」みたいな、英文和訳上級編、のような話で読めて、英語好きには面白い。こういうのは日本語も含めて、いかに鋭い言語感覚を持っているかがモノを言うんだなと本当に思う。例えば、「ドイツ、フランス、イギリスを含むヨーロッパ諸国」(p.103)という日本語を見て、違和感を覚えるかどうか。ここで「~などのヨーロッパ諸国」なんて分かって訳せるのは上級者だと思う。さらにrather thanを「ちなみに」と訳す(p.145)とかも上級者向け。こういうところをいかにテキトーに読み飛ばしていたかという、反省になる。あるいは、例えば「~しているのだから、われわれの見かたに異存はないはずだ」(p.163)のような日本語から、"Your man evidently shares our view, because..."みたいなshareを使えるか、といった和文英訳の視点で見ると、なお一層、レベルが上がる感じがする。
面白かったのは、まず英語と日本語の訳出の違いのところで、「日本語には語尾に微妙で豊富な表現力がある。英語にはたぶん、副詞に微妙で豊富な表現力がある。英語の副詞にあたるのは、日本語では副詞や形容動詞の連用形ではなく、語尾なのかもしれない。」(p.169)という部分は、そこまで読んで何となく思っていたことをズバリ言い当ててくれているような感じだった。例えば、「わかってくれなければ、闘うまでだ。」(p.164)は、"If they don't listen, I'll simply have to fight them."のようにsimplyが「~するまでだ」のような言い切る感じ。こういう副詞がサラッと使える英語力が欲しい。oftenやreallyでは、色んな訳例が載っていて、色々並べてみると面白い。例えば「口癖のように」とか「めったなことで」みたいなものもoftenになり(p.135)、pp.151-2には無数にある訳語を並べて、最後に「なるほど、ずいぶん多いと思われただろうか。じつのところ、まだまだある。いや、まじめな話。」(p.152)で終わっていて、実はこれ全部oftenの訳語、というのが感心してしまった。
英語上級者向けの1冊。(16/09/09)