あらすじ
「自由」の実感なくして、「幸福」はない。
では、どうすれば「自由」を実感できるか?
「どう生きようがあなたの自由だ」と言われて育った私たちは今、自由なんかないとか、自由よりも安定が大事とか、自らに言い聞かせて生きている。本当にそう言えるのか。これまで無数の議論が交わされてきた「自由」を、ヘーゲルをもとに真正面から考え直し、自由を実現できる社会の「条件」を問う。気鋭の教育哲学者による書き下ろし。
[内 容]
はじめに
序章 「自由」に代わるもの?
第1部 「自由」の本質
第一章:「本質」とは何か
第二章:「自由」のイメージを解体する
第三章:「自由」とは何か
第四章:現代政治哲学の難点
第2部 「自由」の条件
第五章 どうすれば「自由」を感じられるか
第六章 どうすれば「自由」な社会を作れるか
おわりに
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Posted by ブクログ
「なるほど」と「問いかけ」が生まれながら読める楽しみ。
検証可能性を追及する哲学の姿勢、そこから導き出される原理がすごい。その先の実践について今後に期待。
・「欲望・関心相関性」の原理
・「人間的欲望の本質は『自由』である」という原理
・各人の「自由」の根本条件としての、「自由の相互承認」という社会原理
・個人の「自由」を可能とするための、「欲望を下げる」「能力を上げる」そして「欲望を変える」
○欲望の中心点は動く。変えられる。これは人間の希望なのである。(168頁)
・欲望の中心点を見つけること。フックを持つこと。網を見つけること。そのための思考。
・承認しやすい環境づくり
・その上で諸規定性を乗り越えること
→しかし、時代や世界は複層的。
・検証可能性=問題範囲の限定。「問うべきは何か」
・諸規定性のある社会を泳ぐ、ヘーゲルのスタンスそのものも興味深い。
・自由の相互承認のための、法、教育、福祉ととらえる。
→諸規定性を乗り越えることが「自由」であれば、ある種社会はそのままでも良いのか、相互承認のための環境づくりは本質ではないのか。
・検証不可能な絶対不可侵なものに原理を置くのではない、ルールの哲学
→原理としての「自由」の可能性、それを目指す社会づくりは必要であるが、一方で、ルールの哲学において、「ルールを守らないもの」を織り込むことは必要ではないか。ルールは守られないこと前提とした原理が必要ではないのか(全てに守られて初めて機能する原理では脆弱ではないか)
Posted by ブクログ
キーワードは、「自由の相互承認」。様々な哲学理論を検証しながら丁寧に説く本書は、自由が生きる上でどれほど大切で、いかに可能であるかを考える上で重要なテキストになると思う。
Posted by ブクログ
能力と欲望の不均衡が不自由、と言うのはまぁ確かにと思ったが、それをどう克服するのかはありきたりというか的を射なかった。
それよりも引用されていた
知性は運命を無効にするという言葉が心に残った。
唯一、思考だけが人間を自由にするのは同意。世界は解釈次第なのだと思う。
あと、多数のコミュニティを持つとか、個人として認められる場が必要とか、そのへんは実感と一致していた