あらすじ
1998年の長野オリンピック、日本のスキージャンプ陣はビッグジャンプを連発し、ラージヒル団体金メダルを獲得、個人でも船木が金、原田が銅という輝かしい結果を収め、日本人を熱狂させました。
その直後、国際スキー連盟はルール改正の検討を開始し、翌年新ルールを発表。「日本叩きだ!」とマスコミを日本中が憤ったものの後の祭り。日本ジャンプ陣は一転して、長い低迷の時代に入ることとなりました。
こうした日本の“勝ちすぎ”を抑えつけるような国際ルール変更は枚挙にいとまがありません。
スポーツでは、
・国際柔道におけるルール変更、
・ 16戦15勝を誇ったF1マクラーレン・ホンダのターボエンジン禁止
ビジネスでは、
・ 日本二輪車の攻勢に苦しむハーレーダヴィッドソン救済のための輸入関税45%引き上げ
・ 米国議会の圧力による自動車の対米輸出の自主規制
・ 日本に厳しい措置がとられた日米半導体協定
などがその代表です。
なぜ、欧米人は平気でルールを変えるのでしょうか?
これからも日本人は理不尽をガマンしなければならないのでしょうか?
著者は、こうした事態の背景には、「ルールに対する考え方の違い」があるといいます。
「ルール作り」から喧嘩がはじまるのが欧米流、それに対して、日本人は「ルールの守りすぎ」で「ルール作りには無関心」です。
こうした違いを乗り越えて、スポーツやビジネスで、あるいは、温室効果ガス削減目標といった国際政治の舞台で、日本人が世界と対等に闘うためには何が必要なのでしょうか。これからの時代の日本人とルールのあり方を問う一冊です。
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Posted by ブクログ
・ルール変更は一人勝ちを防ぐため
・ルールが決まっているからと言って、必ずしもすべて受け入れる必要はない
・ルール作りも勝負の場である
などルールに対する見方が変わります。
Posted by ブクログ
非常に読みやすかった。例示も豊富で、サクサク読み進めることが出来る本。
ルールや改訂の背景にある考え方を洞察することが大事。
プリンシプルとルールが混同されている。
プリンシプルは個別の考え方で、その人やその企業などによる。(自律的)
原則は参加した人は守るべき規律。(他律的)
日本人がルールを所与のものとし、守るべきものという認識を持っている点については、改めて気付かされた。それに対し欧米人は、プレイヤーがルールを作るという思考回路を持っている。ルールを作るのも戦略のうちという考え方は、日本人に無いと思う。
制約が美を生む点についても同感。韻や五七五といった制限があるからこそ、そこに美が生じる。
また、本書でも指摘があるように、「ルールといった制約があってこそ成長する」のは確かだとおもう。制約の難易度にもよるが、適度な制約であればそれが成長の糧となる。
ところどころ実例が意図するところが分からない点もあった。
Posted by ブクログ
スポーツの国際ルールでは日本に不利な条件に変わることがしばしば
その真意とは?
■ルール変更不利の実例
・スキージャンプのスキー板流さが身長比に変更
・無敵のマクラーレン・ホンダのターボエンジンの使用禁止
・日本製OS「トロン」の教育機関導入へのアメリカ介入
■ルールについてとるべき行動
・ルールの意味と目的を理解する
・ルールが実情に合わなくなったら変更を提案する
・ルールが必要ならルール作りを率先して行う
■ルール変更はずるい?
・日本人の闘いの美学「スポーツマンシップを守る」
ルールを変更するという考え方自体が日本人にはない
・ルールに対する考え方の違い
日本はルールはだれかが作るもので、不変のもの
ルールのもとで最善を尽くすことが重要
欧米ではルールは"決めごと"でしかない
自分に不利であれば変更を要求していくもの
■ルール変更の真意にせまる
・スキージャンプの例
旧ルール:板の長さは伸長プラス80センチ以内
新ルール:BMIの値に応じて、身長比の板の長さが異なる
80センチルールでは、極端な減量をして飛距離を稼ごうとする選手が続出
選手の健康を損なう恐れが大きくなってきた
ルール変更の目的は「健全な選手の育成」にあった
実際にルール変更後も、低身長のスター選手は登場している
一概にジャパンバッシングとされるものかどうかは、
きちんとルール変更の真意をつかむことが大切
・マクラーレン・ホンダの例
1988のFIでは16戦15勝という成績だったが、
(ちなみにドライバーはアイルトン・セナ)
1989年からはターボエンジンの使用が禁止された
この時のルール変更は、1チームが勝ちを独占してしまうと、
面白みがなくなってビジネスが成り立たなくなってしまう、
という意味もあったと考えられる
実際に1989~1991年までホンダはノンターボエンジンでシリーズを3連覇した