あらすじ
コーポレート・ガバナンス改革に違和感を持っている人へ――。
コーポレート・ガバナンス、企業統治改革の必要性が常にいわれている。一般にいわれている企業統治は、経営者への監視を強め、報酬でインセンティブを与えることを狙っている。その根底には経営者への性悪説があり、経営者の利己心に訴えて、なすべきことをさせよう、とするスタンスである。しかし、人間には「良心」もある。たとえば、「従業員のため、顧客のため、社会のために貢献すること」や「経営トップとしてきちんと責任を果たすこと」の歓びによって全力を尽くすといったことである。従来、日本の企業システムでは、株式持ち合いや社内取締役中心の取締役会のゆえに、コーポレート・ガバナンスは機能しないといわれてきた。しかし、それでは日本企業の長きにわたる発展は説明できない。本書では、そのメカニズムを明らかにすることで日本的経営論に一石を投じるものである。
【主な内容】
第1章 企業統治の「新しい」見方
第2章 企業統治の空洞と核心
第3章 良心による企業統治
第4章 良心を喚起しやすかった日本の企業システムと価値観
第5章 良心による企業統治はなぜ良いのか
第6章 良心による企業統治の限界と補完
第7章 逆風下の良心による企業統治
第8章 良心による企業統治を守っていくために
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Posted by ブクログ
伊丹氏の教え子ということで本書を知って手に取ってみた。
本書の主張は
・現在のコーポレートガバナンス(CG)は性悪説をベースにした飴と鞭の施策を体系化したものであり、そこに違和感を感じる
・日本はCGが弱い、と言われるが、世界と比較してもそんなとんでもない暴走などは起きていない
・日本は今のCGとは異なる企業統治が従前より行われていて、それが「良心」を基にした企業統治であった
・今後も日本はこの良心を基にした企業統治を推進すべき。そのために
ー良心を育てる
ー良心を拡げる(会社だけでなく取引先、ステークホルダー、社会、国、世界を基準に物事が考えられるように日々精進)
といったことを経営者はしっかりと行っていくべき。
・良心の企業統治をするために社外取締役の機能も重要。
・社外取は「経営者を信じる、任せる。だが裏切ったら首にする」という双極を持ち合わせた人材がなるべき