あらすじ
“ソクラテスになったマーク・トウェイン”。老人と若者との対話形式で、近代社会を支える人間存在を、自らの欲望で動く「機械」にすぎないと断言するパラドックス的人間論。作者晩年の代表作でペシミズムの影が現れた哲学的な作品。
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Posted by ブクログ
最初に出てくるので、ネタバレではないと信じてタイトルの答えを書くと、淡々と「人間は機械である」を説く内容。哲学だけど、会話調でとても読みやすい。
自分の思考は、自分のものではなく、すべてが環境や気質に依存したもの。他人のためではなく、全ての行為は自分のため。漠然と思っていたことではあるけど、なるほどなぁ。自動機械は「運命」といってもいいかもしれない。震災の時に偽善活動が流行って、折り鶴やら好き勝手な支援品送りつけやらをする人が多発していて、僕も「自分の痛みを伴ってこそ」と募金をしていたけども、結局のところ僕は僕が満足したいだけだった、そうだったんだ。結局のところ、内なる主人を満足させるために動かされてたんだ、そうだったんだ。
影響を恐れて発刊を控えていたというけど、実際の所この話は思考実験であって、現実の思想や生き方にそれほど影響が強く出るとも思えない。ただ、すべての行動の意味(本当の価値)は当人の満足にあるんだという考え方は、興味深い。