【感想・ネタバレ】ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記―のレビュー

あらすじ

早稲田大学を出てアニメーション制作会社へ入ったごく普通の青年がいた。駆け出しながら人気アニメ作品の演出にも携わるようになったが、24歳のある日を境に、仕事場では突飛な大言壮語をし、新聞記事を勝手に自分宛のメッセージと感じ、また盗聴されている、毒を盛られるといった妄想を抱き始め……。四半世紀に亘る病の経過を患者本人が綴る稀有な闘病記にして、一つの青春記。

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【読んだきっかけ】
著名ブロガーこと、『ちきりん』の日記から派生。
本書を読む前に『統合失調症 愛と憎しみの向こう側』という著書(これまたちきりんの日記から派生)を読んだ。統合失調症を患った妻を支える家族の苦悩な日々を綴った体験談である。
これをきっかけに、統合失調症疾患者側からみた心情に興味を持ち本書を読むに至った。
つまり、疾患者を支える側の感情と疾患者本人の感情を知りたくなり、購入しました。

【感想】
精神疾患を発症した者のイメージは、『怖い』『関わりたくない』『なにをされるかわからない』が強くあったが、これらが偏見だったんだなと実感できる本。
本書を読むきっかけとなった『統合失調症 愛と憎しみの向こう側』という著書ではこのイメージは拭えなかったが、本書によって偏見を払拭できた。
ただ『なにをされるかわからない』イメージは残ってしまう。
と、言うのも疾患者本人も症状が増幅するとわけがわからなくなり、ありもしないことが現実だと思ったり被害妄想が激しくなるようだから。(例えば、通りすがりの赤の他人が自分を殺そうとしてることに確信を得ている、とか)
症状には波があるようで、落ち着いているときは本当にまとも。
まともなときの文章には、クスッとしてしまうとこもあれば、なるほどねと共感することもあった。
著者は頭がいいのか、選ぶ言葉やたとえ話に小難しい本を引き合いに出してくるので、全体的に読みずらかった。
でも、本書を通して精神疾患者のイメージがやわらいだことは確かである。

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2014年04月09日

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 何をもってして異常と正常を分けることができるのか、それが世の中の常識をもってだとするとあまりにも不明確すぎるし、正しいか間違いを瞬時に判断できるのならば道徳など必要ない。

 作られた精神障碍者にならないためにはどうすればよいのだろうか。ここから始まると精神異常者判断されやすくなりそうで怖い。

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2013年05月09日

Posted by ブクログ

ここ一年で一番心揺さぶられた一作。私は、自分もいつか狂ってしまうかもしれないという恐怖におびえ、人はいつでも狂えるのだと確信していて、同時に、おびえている限り来るってしまえないと諦観しているこの愚かさ!を抱えており、そして今関わらせてもらっている生徒に、同じ症を抱えながら”それを表現・説明することのかなわない”お子がおりまして、思いは重く手にとり、読み進めました。

当事者が語る、ということが、いかに重要でありがたいことか。語れないお子の思いなど勝手に当てはめているだけですが、それでも本当にありがたい。

発狂の記録は綿密で、読みながら貰い発狂連鎖したらどうしようなんて馬鹿なことも考えていたのですが、狂いませんでした。はい。しかし追体験する思いでした。精神の描写の、その緻密さが素晴らしい。

「発狂に必要なある種の精神状態とは、ポジティブな、ロマンチックな狂気である。想像力が旺盛で、激しくない性的な人間のみが到達しうる、あと一歩で狂気スレスレの境地、そのとき見えるのが現実の究極的な姿なのであろう」

自分がなぜ発狂するに至らないのか、教えて頂いたような気がしました。いやもう狂ってるかもしれないんだけどそれはそれで良くて。というか、やっぱりすれすれタイプなんだなというのが、当てはまりすぎて怖いくらいでした。まあ少しは頭可笑しいのかもしれん。というところで。

コリン・ウィルソンの「夢見る力」の引用には暴力的な引力を感じました。昨今の自分の中のキーワードがそのままタイトルになっているのも含め、ほうらもう”啓示”を見いだしている!笑 常に既にソフト発狂なわけだ、と思いながらさらに読みました。

作者の分析も素晴らしいです。

「精神病とは、心の病でも脳の病でもなく、その両者の関係が壊れることだと思う」とは慧眼。そして、「化学療法によって脳は治せても心は治せない。…そして、心がいじくられることはないと思えば、安心して精神科に入院することもできる」というのは、今まで自分には思い至らなかった重要な観点だと思いました。ふっとばされた。確かにそうだ。

作者の鋭い視線はあらゆるところで光っています。「もし僕の心が病んでいるのだとしたら、これはうまれたときからそうだったんであって、今更健康な心になりたいとは思っていない。もし今後、僕の心が、僕の脳に、人とは違うプログラムを施してしまったら、それを矯正するのではなく、うまく人と折り合いをつけて、入院せずに暮らしていきたい。発狂せずに陥らずに、脳のプログラムの変換をすることは不可能なのだろうか。これが今後の僕の人生の最大課題だ」

しかしこれは、精神病者と、他人事と、囲ってしまえないことこそが重要なのだと思います。いや、大切なのだと思います。だからこそ、作者の祈りには涙が止まらない。

「今晩もお祈りしよう。僕がおかしくなりませんように。現実的に生きていけますように。僕の周りの全ての人に感謝します」

自分の祈りと寸分違わないからです。

私たちはだだっ広いグラデーションを描いて存在していて、私自身はソフトに発狂し、作者は激しく発狂し、またその間に幾人のひとがいるのでしょう。さらに指針や尺度は有象無象に存在し、つまりは誰もがどうしようもなさをどこかで抱えている。そしてきっと同じように祈っていると思うのです。

だから作者が見た世界や考え抜いていることは宝石のように私たちにも齎される。重要なのではなく大切だと、心から思いました。

序文は既に触れている。だが、狂っているというなら、そうだ、私は狂人の言葉にだって傾倒し涙する!

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2013年02月17日

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ネタバレ

統合失調症の患者の体験記。こういう人が世界をどう見ているのかってのが分かると、自分の脳の仕組みについてイメージしやすくて良い。


●脳への感想で一番強く考えたこと。「リミッタ―があるんだな。」
普段はリミッターで抑えてあるから思考にはスピード制限があるけれど、精神病のような症状が出ると抑えが利かなくなるんじゃないかな。
そうすると、著者のように次々に思考がつながって、頭の中に言葉が溢れてくるのではないだろうか。
このリミッターはホルモン的な何かなんだろうけれど、これの分泌をコントロールするのが精神病の薬なのかな。

●もう一点、精神的ななにかで大事な観点があると思った。「客観性」
障害者とか精神病患者は客観性の欠如がうかがえる。別の言い方をすると「思いやり」とか「他人の気持ちを察する能力」
この本の中でもよく出てきたが、世界が自分を中心に回っているように強く感じるとのことである。
少し話は逸れるが、人は大人になるにつれて「客観性」が身についていく。他人の気持ちを考えられるようになるから友人を作れるようになるし、恋ができるし、仕事もできる。客観的に考えられるから法律を扱えるようになる。
考えや行動が子供っぽい人ていうのは、我がままだったり視野が狭かったりする人だと思うんだけど、つまり客観性が無いってことだと思う。
つまり、精神病患者ってのは幼児期への退行のようなものではないかと思う。

自分や知人がもし、「幼児的な退行現象がみられる」とか「最近客観的に考えられなくなったかも」って思ったら、その人の精神的な負荷を軽減してあげられるようになろうと思う。

___

●大隈重信=円の単位を作った人

p187 秩父困民党事件…松形デフレで困窮した農村部の非暴力決起
秩父の農民とアイヌ人が関連している!? そもそもこの事件は秩父が隠れキリシタンの秘境であったという可能性も問題に含まれている。
統合失調症には関係のない部分だった。

p190 『スター・シーカーズ』積読

p209 心は脳にあるか
もし心が脳にあるのなら、薬を飲めば精神病は完治できるはず。しかし、そうはならない。一度なったらどこかしら影響が残る。
というのも、精神病がよくなってもその時の自分の記憶は心に堆積しているから。だから脳だけ直しても心にある傷が癒えないから、精神病は一生モンになってしまう。
つまり、心と脳は別物だ。

う~ん。持論では、心は脳が言語経験によって作りだすのが心なんだよね。だから、心=脳ではあると思う。
心が死んでも脳は機能するけど、脳が死ねば心も死ぬと思う。だから私は養老猛に共感して唯脳論を指示します。

p228 元号の改定における世論
「(平成は)平和な世の中になってほしい。」「新天皇は世の中を平和にしてほしい。」
この世論は非常に低級である。平和な世の中は一人一人の活動によって実現していくものである。上記の回答は、とにかく自分以外のものが平和的活動をしなくてはだめだということになる。
じゃあおのれ自身は何をするというのか。マスメディアも「どんな時代にしていきたいですか?」と能動的な問いかけをすればよかったのに。



この手の著作は視野が広がるわーーーーーーーーー(╹◡╹)

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2013年04月22日

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ネタバレ

色々とすごい本でした。
簡単に感想を言えない本だな。
実際に子の本を読んだ身近な人と感想について話してみたいなと感じる本です。

どこを軸に話すかで大分話がかわってくる本だと思います。

私的には”面白い”っていう基準でくくれる本ではないかな。

でも読後感は大きい本でした。

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2013年01月27日

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統合失調症患者自身が、自身の症状、思考、生活を振り返った。
妄想知覚、妄想着想、連合弛緩、被害妄想、誇大妄想、といった統合失調症の症状、さらに観念奔逸などの躁鬱病の症状が当事者自身の目線でありありと描かれている。
こういった症状は本人からすれば、さも当たり前に起こることであり、防ぎようがないことがよくわかる。
「裁判時の心神喪失者の行為は罰しない」という刑法39条に対する、統合失調症患者自身の拒否が見られた。精神障害者は法律に基づいた社会生活を営む権利はないという差別に他ならない。

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2022年08月25日

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思ったより読み応えがあった。もっとあっさりしたものだと思っていた。酷くなっている時の思考はおかしいには違いないのだがそれほどでもなく、普通に読み込んでしまう部分もある。年齢が私と近く読んだ本やアニメの話などが身近で、さらに私も躁鬱を患っているので近況が気になってしまった。令和に入った今、お元気で過ごされているだろうか。また近況を発信していただけないだろうか……

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2019年07月07日

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活字だけだと「え、ウソだろ?」ってなって笑いが止まらない。でもそれが病気なのだから笑ってはいけないのだが…。
ブッ飛び発言が多くて、統合失調症についてより具体的に分かったと思います。

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2018年05月27日

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統合失調症となった男性が、自分の病症を振り返って記した闘病記。

統合失調症の病状が発症したときの当人の思考の流れが知れてとても興味深かった。

始めは単純に想像力が豊か、行動力があるくらいだった著者は、いつの間にか精神病に陥っていた。

正気と狂気との境目というのは非常に曖昧だ。

想像的な仕事というのは多少狂気に足を踏み入れていないとできないように思うが、芸術家などはどうやって自分の想像を想像にすぎないと認識しているのだろう。

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2015年02月22日

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しっかりした文章で、妄想や幻聴について綴られているから
(ご本人は現実として捉えているからか?)
この病気の複雑さが伝わってきて、読み終わってぐったり。
自分も気分の波が強い方なので、「性格」と「病気」の一線は
いったい何なのだろうという思いがますます強くなった。

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2014年04月28日

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感化されてあちら側に行ってしまいそうな人は
読まない方がいいとは思うが,
ヘタな小説よりもずっと面白かった。

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2013年11月13日

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読み終えて一番最初に「この本に会えて良かったな」と思えた。
最初の部分では「中二病こじらせちゃったって事?あれは一生治らないぞ!」とか思ってたけど、どんどん様相が変わって世界が狂っていく様は圧巻。
発病してからの文章も支離滅裂なりに論理的でびっくり。(もちろん、けっこう電波だったりスピリチュアルだったり読みにくい部分も沢山あります)何と言うか「正気を保ちながら発狂する」という感じでしょうか?
しかも、「本当に体験した事」と「筆者の妄想・あるいは幻覚」の境目が非常に曖昧なのにもびっくり。「本当」って「現実」って一体何なのでしょうか?私が見てる世界と筆者が見てる世界、他の人たちが見てる世界って違うんだ。と改めて気付いたり。
筆者の行動自体はかなり危険で、人様の家の窓ガラスを割ったり、警察のお世話になったりと心配になります。
しかも恋愛についての思考回路が酷すぎる。ときめきを手近な所で安易に求めるんじゃないよまったく!と怒り心頭である(だから☆マイナス1です)
それにしても、この筆者、きっと性格良くて好い人なんでしょうね。会社の人もそうだし、大学時代のサークル仲間もすごく良くしてくれている。特に、後書きを書いてる望月さん!まだまだ精神病への偏見もあった時代だろうに、「精神病の同僚」じゃなくて「小林くん」として接して色々お世話してくれてる辺りが優しい。後書きもキッチリ読ませて頂きました。

職業柄、精神病の患者さんと接触する機会が沢山あります。精神病への偏見や差別が少しでも軽くなりますように。この本、ちょっとクセがあるけど広く読まれて欲しいな。

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2013年09月05日

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幻覚妄想状態になった筆者の闘病記と今日に至るまで。
アニメの制作現場のエピソードと医療の現場の様子が興味深い。

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2013年05月12日

Posted by ブクログ

弱ってる時には読まない方がよい。
異常時の行動、精神の高揚が鮮やかに描写されていて、うっかりすると飲み込まれそう。
小難しい理論はさっぱりわからん。
頭のいいバカ、とはこういう感じだろうか、と言ったら失礼かな

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2013年02月05日

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*****
世界が自分に何を問うているのかをただひたすらに記述して行く。
なんていうか、自分の見ている世界は一つでしかない、ということを突きつけられる感じ。
*****

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2013年02月04日

Posted by ブクログ

1986年からこれまで四半世紀以上も精神疾患を患い、病気と付き合っている小林氏の闘病記。統合失調症について物凄くリアルに触れることができる。キチガイになっていく過程はこんな感じなのかと。。

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2013年01月30日

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言葉を自分でなぞっているにも関わらず、目の前の文章は時々自分から離れていくような感覚になった。文の意味が理解できないのではなく、筆者のいる領域に自分はいないのだと思った。自分にとっての現実と筆者にとっての真実、現実が絶妙に入り混じっていて「この文章に書かれている世界」にずっといることは困難だと感じた。その感覚は精神障害のある人々への感じ方を少し変えたように思う。数年経ったらまた読み返すつもりだ。

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2013年01月25日

Posted by ブクログ

症状ではなく、区分としての「精神病」をさっぱり認める気になれなかったのだけど、この本でいくぶんか、その気持ちが薄らいだ気がします。
この本は統合失調症にかかり、なお闘病中の元アニメーターの、たまに少し遠いところに行きながらもまた帰ってくるような、不思議な感覚がいただける話。著者は「チェインギャング」の「世界が歪んでいるのは 僕のしわざかもしれない」という言葉にしっくり来るのだといいます。参考になりました、というのはよくない表現かな…。

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2013年01月12日

Posted by ブクログ

統合失調症の方の脳みそのフル回転ぶりが 見事に文章化されているんだと思う。あとがきで年表を知り それも興味深かった。最後の望月氏の書評が本文と読み比べても、なんとも辛い。

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2019年09月21日

Posted by ブクログ

自分に聞こえるものや自分にみえるもの、
そういう体験が、「本当にあったこと」だって証明できるものは?

そう聞かれたらうーん・・・と思ってしまう。

みえるよ。いやみえないよ(幻覚だよお薬飲もう。)
見えるよ。いや見えないよ?(見えないなら手術しよう。)

どっちが危険な考え方なのかこれ読むと少し揺らいじゃうんだよね。
「正常」って不確かだよなぁ。

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2016年12月23日

Posted by ブクログ

面白かった。著者は、記憶力もよく、明晰な文章を書く頭のよい人だと思う。それゆえに、物事を深く考えすぎると、妄想・幻覚にとらわれてしまうのかなあと思った。そうすると、統合失調症等の精神疾患は、誰にでも起きうるのかもしれない。ただ、少し触れられているように、著者が仕事に行き詰った挫折感やストレスから心理的に「逃げた」ことが症状につながったのかはどうかを知りたかった。また、文庫版の校了は2011年の下半期らしいので、柏崎に在住している著者が3・11をどう見たのか、何を感じたのかも書いて欲しかった。

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2014年07月29日

Posted by ブクログ

この本の中で印象に残った言葉として「頭がおかしくなっていることを、おかしくなっている頭で理解する事の困難さを分かってもらえるだろうか」という切実な訴えがある。このように平時では非常に客観的に物事を捉えられているのがまず凄いと感じたが、その分症状が強く出た後静まってからが辛いだろうなとも思う。しかしそんな中でも細かく日記をつけ、最終的に本として出版できるまでにまとめたのは凄い。しかも文章がとても読みやすくすらすら読んでしまえたことにはとても驚いた。

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2014年03月18日

Posted by ブクログ

元々東郷室長賞というタイトルで出ていた作品。今のタイトルと端書に惹かれて購入。
精神障害を抱える人は、責任能力がないとして罪に問われないとか、電車の中でやたらと騒いでる、とかそんなイメージしかなかったものの、もう少しそれ以外の部分についても触れることが出来た気がする。

多少でも理解を深めて、自分側に、そういった人を受け入れられる心の準備のようなものが出来ればなあ、といったところ。

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2014年01月28日

Posted by ブクログ

統合失調症の妄想着想を甘く見ていた。こんなこと、一日でも経験したら、私なら疲れて三日は寝込んでしまう。「薬は幻覚妄想とともに創造性も奪っていった」という言葉が切ない。

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2013年11月30日

Posted by ブクログ

筆者は早稲田のアニメ研究会からアニメ制作会社に就職し「タッチ」の絵コンテなどを担当するようになったものの、仕事のせいなのか、元々の性格によるものなのか、統合失調症になり、誇大妄想的な発言が増え、遂には入院する。その後、退院し復職したり、父親を手伝ったりして社会生活を送るようになった時期があるものの、数年後には再び発症して入院。その後も入退院を繰り返し、今はグループホームで暮らしているという。
その本人が当時の記憶や日記などを元に、その当時自分はどう感じ、考えていたかを書き綴っている。
「タッチ」の就職してアニメ制作を担当したという事からも、世代的には自分とほぼ同じくらい。
そういう筆者が二十代〜三十代の頃を書いているのだが、社会的な出来事の記録はおくとして、日記などがあるとはいえ、当時の心情について事細かによくそこまで覚えているなと驚く。というか、それは統合失調症となんらかの関係があるのかしらとも思えてくる。
その詳細な記録と記憶を元に自分がいかにして発狂してしまったのか(筆者は自分自身で「発狂」という表現を使っている)という経緯を説明している。
その道筋には、やはり極端な発想というか、尋常ではない展開を感じるものの、解説によれば統合失調症の本人自信がここまで克明に自分自身の心理状況などを独白したものというのはとても少ないのだそうだ。

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2013年08月02日

Posted by ブクログ

統合失調症を内側(本人)から観察したルポ。

病状の変遷も興味深いけど、思考がおもしろく、そんなに昔に書かれた感じがしない。
特にパラダイムシフトのことや、新しい価値観と新しい幸せで生きていく話しは震災後に書かれたのかと思えるくらい。

アニメ会社に勤めていた人なので関わってた実際の作品もしばしば出てくるので、好きな人にはそれも面白いかも。

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2013年06月23日

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 幼女殺人事件の方は容疑者が「モヤモヤとした、とめどもない高鳴りが一気に爆発し」と犯行声明で語っていたが、僕には”とめどもない高なり”という精神状態がよくわかるような気がした。自分もそうだったから。だがその次の段階の殺人と言う行為と精神科に逃げ込むという行為の差は世間の人々に認めてほしいと思う。

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2013年04月30日

Posted by ブクログ

(主に)統合失調症の方の日記のようなもの。
急性期のパニック(のような)の時はきっとご本人はとても辛いのではないだろうか。精神障害者とその中から犯罪を犯す人は違うので一緒にしないでほしいとのこと。なるほど。
精神障害者にとって大事なのは、自殺しないこと、他者を傷つけないこと、だめだと思ったらすみやかに精神科に入院すること、だそうだ。なるほど。
病気の人と、病人の家族が大変なのはきっとどの病気も同じですね。
精神障害者への偏見云々の話は、作者も少し触れていたポイントですが、精神障害者と、その中から犯罪を犯す人の違いというかその辺りが分かっていないからではないでしょうか。

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2013年04月08日

Posted by ブクログ

統合失調症を発症したアニメーターのノンフィクション。論理が脳内で加速してその回転に耐えられなくなるリアルな様子が恐ろしく引き込まれる。
悟りと狂いは紙一重だという本人の認識にも納得できた。

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2013年02月27日

Posted by ブクログ

統合失調症を患った著者が、自らの人生、病気について語った本。

発病した時のことが細密に描写されており、参考になった……というか、おもしろかった。

はっきりいって、読むのがとても大変だった。自分も引き込まれて正気を失ってしまいそうで。
私自身がニューサイエンスやラヴクラフト、コリン・ウィルソンなど、著者と共通する読書体験が多いからというのもあるかもしれないが。

また、本にはほとんどでてこなかった、家族の苦悩について思いをはせたり。

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2013年02月11日

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