【感想・ネタバレ】ミミズクと夜の王のレビュー

あらすじ

魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。 額には 「332」 の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。 自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。 願いはたった、一つだけ。 「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」 死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。 全ての始まりは、美しい月夜だった。 ―― それは、絶望の果てからはじまる、小さな少女の崩壊と再生の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

とても美しいお伽噺。

何も持たないミミズクの世界に色がつき、名前がつき、自分で自分を選びとるまで。無駄なところがなく清々しい。
周りのひとたちがみんないい人すぎるけど!
王様はもっと悪いかんじで終わるのかと思ったら、ふつうにいい人だったよ。まあそれでいい話なのだろうなあ。

あとがきで、大人になったら忘れられてしまってもいい、一瞬だけ心を動かすものがあれば、そういうはなしが書きたい、と作者が書いていて、何かとても、色んな気持ちを思い出した。すごく心を揺さぶられるとか、ヒリヒリするとか、そういう感覚。長いこと蓋をしていたんだなあと思った。
子どものころに出会っていたら、人生の1冊になっていたかもしれない。

2
2019年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とてもいいお話でした。

魔物に食べられたいため、魔物の森を彷徨う女の子「ミミズク」が、その森の魔物の王「夜の王」と会うところから始まる物語。
どこか様子のおかしいミミズクは、夜の王に「自分を食べて」とお願いしますが、夜の王は「人間など食えるか」とにべもなくどこかに去ってしまいます。残された女の子の元に、やってきた別の魔物「クロ」。どうなるかと思いきや、「お前は許された」として、相手をして面倒をみてくれます。
なんとも不思議な始まり方です。壮絶な暮らしを強いられた結果、ただ食べられることを望むようになってしまったミミズク。どうしても食べてもらうため、しつこく夜の王にお願いします。その度にあしらわれますが、面倒を見てくれるクロの導きに従い、夜の王に近づこうと頑張る姿が痛々しくてたまらないですが、儚いながらも希望が見えてきます。
そんな中で一方、近くの王国の王様や聖騎士が出てきて、彼らが魔王と呼ぶ「夜の王」討伐の目論見が出てきて、何やらきな臭くなってきます。
この討伐はどうなるのか。ミミズクは、夜の王、クロはどうなるのか。そっとしといてよ、と思ってしまうけど、そこは物語が進展しますよね…。

さて、この物語、ここからがとてもよかった。人の怖さ、優しさ、強さ、儚さが凝縮されて、話が美しくどんどん進みます。
そして、再生と成長が描かれる最後は、自分を満足させてくれるハッピーエンド!

ファンタジーものですが、細かい設定がなく、なんというか逆にすんなり入り込めるなあ、と思っていたら、解説で有坂浩先生が、「細かな設定のない、これはお伽話」とおっしゃっていて、ほんとだお伽話だ!と感心しました。さすが作家さん。

0
2025年10月21日

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