あらすじ
ぼくらが皆あこがれていたリズボン家の五人姉妹が、次々と謎の自殺を遂げた。美しく、個性的で、秘密めいてすらいた彼女たちは、その死でぼくらの心をさらに惹きつけた。時を経て今、ぼくらはふたたび彼女たちの思い出の中にさまよい出す。ぼくらを変えた、その最期を知るために。甘美で残酷な、異色の青春小説/掲出の書影は底本のものです
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Posted by ブクログ
狂ってるけど、綺麗。映画も見たけど、本の方が印象に残ってる。いつだって狂った親の犠牲になるのは子どもたち。狂った親が綺麗な娘たちの心を握りつぶしちゃったって感じ。
Posted by ブクログ
ヴァージンスーサイズを見てから読んだので、おおざっぱな話や登場人物はだいたい頭に入った状態で読みました。映画のほうは女の子たちのほうにクローズアップがされていましたが、こちらは語り手である男の子たちや、映画で拾いきれなかった細かい事柄がきちんと説明されていたので個人的には原作のほうが好きです。特にクライマックス~エピローグに至るまでは小説のほうが密で、いくつもの絶望(年月の経過、街の退廃など)が重なっていき少女たちの死が覆い隠されてしまう過程がわかります。あと、映画のタイトルが何故「ヴァージンスーサイズ」であるか、ということは原作のほうが分かりやすいです。
Posted by ブクログ
ヘビトンボが飛ぶ季節に末娘のセシリアを筆頭に次々と自殺していくリスボン家の姉妹たち。
その時のことを当時少年だった「僕ら」の視点から振り返る。
彼女たちの自殺の原因は書かれてなく、読み手も「僕ら」と一緒になって推測するしかない。
リスボン家は躾に厳しく、学校外で他人と接する機会がないため姉妹たちは周りからミステリアスで憧れの存在だった。
しかし本当は彼女たちも普通の私たちと変わらない子たち。
最初は家が厳しすぎることで将来を悲観しての自殺かと思ったが、それ以上に根本的なことかもしれない。
この世界そのものが彼女たちと合わなかったのではないだろうか?
不思議な感じで始まり、不思議な感じで終わる、とてもミステリアスだけど穏やかな話。
Posted by ブクログ
登場人物の名前を覚えるのが大変。
というのは5人姉妹の名前以外に、近所の人や学校の人、メディア関係者など誰が一体重要人物なのか読んでいてわからないので名前をいちいち覚えていられない。
映画「ヴァージン・スーサイズ」が素晴らしかったのと、メインキャラクターが女性のストーリーを男性作家が書いているのに興味を惹かれて購入。
オチがタイトルに書いてあるし、映画も見ているからどこに向かっているのかわかるのに、読み応えあり。
Posted by ブクログ
昔購読していたファッション誌のモデルさんがおすすめしていたのを見て以来、ずっと読みたかった作品。姉妹の部屋に吊り下げられた十二宮のモビール、ブラジャーの引っ掛けられた十字架といった印象的なモチーフが次々登場し、読んでいるこちらも段々と幻惑されられていく。最初の自殺の日から放置されたままのパーティー会場で、ピニャータのように吊り下がった死体を発見するシーンは鳥肌。ぜひ映画でその映像映えを堪能したいところ。70年代アメリカのティーンエイジャーの鬱屈した生活の中で、ひたすら死に引き寄せられる姉妹と彼女らに性欲を抱きつつ助け出したいと望む「ぼくら」の対比が美しい。
Posted by ブクログ
つかみどころがない。雰囲気とか煙みたいなものだけが漂ってる。
「生活」を感じさせない女の子たちがただ、淡々と死んでく。
触れんし、呼び戻すこともできんし、最初から会話できてたのかも怪しい。
自分らには見えんものを見て、聞こえんものが聞こえてる人らに「生活」を求められん。相手してもらえない。せいぜい、終わってから気付く。
原題は「The Virgine Suicides」やのに、ヴァージンじゃない子がでてくるけど、それが大したことではない。
Posted by ブクログ
読むのは2度目だけれど映画は未鑑賞。
両親、特に母親からの抑圧がとてもあるのに加えて、姉妹を外から眺めて賞賛する「僕ら」にも失望してたんじゃないかと思いました。セシリアの未遂の時点ならもしかすると留められたかもしれないのになぁ。
男子側の視点過ぎました。この年齢の男子だったことがないのでちょっとわからない。。姉妹のこと何でも知ろうとするけど、直接向き合ってた人はあまり居ない。僕らのうちの誰も、姉妹を本気でこの環境から連れ出そうとする気概がない。ミセズ・リスボンの妨害なんてなんのそのでは…と思うけど、この時代の保守的な街では仕方ないかとも思いました。学生だし親の言う事は聞いとかないと。。
映画はソフィア・コッポラ監督で女性目線での制作だから原作より寄り添えるかも…と、ますます観たくなりました。
Posted by ブクログ
出版当時のアメリカの雰囲気や流行、母国の人が持つ感情をもう少しでも知識があればもっと楽しめた気がする。5人の少女たちの不安定さや独自さが魅力となり、触れたいのに触れられない気持ち。自殺によりそれが強化され調査に乗り出す「ぼくら」が成長し続ける中で、彼女たちを忘れたら青春が無くなってしまうような感覚が切なくて温かい気持ちになる。少女たちの自殺に向かう生命力や不潔さ、そして清楚さの同居に、人って複雑で理解なんてできっこないんだって思わせてくれる文章がすごい。