あらすじ
中東に訪れた「民主化」の波。独裁政権崩壊という同じような状況に見えて、その内実は大きく異なる。なぜNATO軍はリビアにのみ軍事介入したのか?天然資源取引における基軸通貨戦争とは。欧米の、資本の原理が潜む。
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Posted by ブクログ
【砂漠をさすらう国籍のない人々】p155
「ビドゥーン」とは、アラビア語では「持っていない」「なし」という意味。
湾岸諸国の国に住んでいた人はもとは遊牧民だった。ヨーロッパによって国境に線が引かれるまで砂漠を自由に行き来していた。
【アルジャジーラのタブー】p212
カタール政府批判
【メディア戦争だったアラブの春】p222
チュニジアやエジプトでは主役が市民だったが、リビアやシリアではメディアが偏った報道をすることで、内戦をあおりたてた。
【SNSの裏の側面】p227
ソーシャルメディアは国家権力が個人情報を収集するツールになる危険性をはらんでいる。例えば、フェイスブックはプロフィールだけではなく、人間関係や現在地などの情報をアメリカのCIAに提供しているのではないかという疑惑が持たれている。
Posted by ブクログ
著者は日本赤軍の重信房子の娘だそうだ。
エジプト革命が話題になったが、「アラブの春」の中では、チュニジアやエジプトと、リビアでは「革命」の性質がまったく違うと。
リビアのカダフィには「アフリカ合衆国構想」があり、金本位の地域通貨(ディナール)をつくる動きがあった。それを阻止しようとした米国・欧州によるNATO軍はインフラを空爆し、政権崩壊後の外国資本参入の素地をつくったというのだ。(カダフィのリビアは、世界最大級の福祉国家だった)
ここでもアメリカのご都合主義が見え隠れしている。
Posted by ブクログ
ベイルート生まれのジャーナリスト重信メイによる中東革命の裏側。日本や欧米のマスコミは勿論、アルジャジーラですらかなり偏ったバイアスを掛けた報道をしているようです。「ジャスミン革命」に代表される、"FacebookやTwitterによって民衆が革命を起こした"という分かりやすいストーリーが様々な政治目的に利用されているのが現実。リビアやシリアのクーデターはジャスミン革命とは程遠く、内戦を煽る事でその地域での戦略的優位を確保したい欧米と露中の駆け引きにすぎないと。またバーレーン、カタール、イエメン、モロッコなどで起きた出来事はほぼ無視され続けている事も、私達がいかにアラブ世界から遠いのかを教えてくれます。報道の読み方というものはつくづく難しいですね。