あらすじ
平戸藩の御船手方書物天文係の雙星彦馬は、三度の飯より星が好きという藩きっての変わり者。そんな彦馬のもとに上司の紹介で美しい嫁・織江がやってきた。彦馬は生涯大切にすることを心に誓うが、わずかひと月で新妻は失踪してしまう。じつは織江は、平戸藩の密貿易を怪しんだ幕府が送り込んだくノ一だった! そうとは知らず妻を捜しに江戸へ赴く彦馬だったが…。
※本電子書籍は「妻は、くノ一」「星影の女 妻は、くノ一 2」「身も心も 妻は、くノ一 3」「風の囁き 妻は、くノ一 4」「月光値千両 妻は、くノ一 5」「宵闇迫れば 妻は、くノ一 6」「美姫の夢 妻は、くノ一 7」「胸の振子 妻は、くノ一 8」「国境の南 妻は、くノ一 9」「濤の彼方 妻は、くノ一 10」を合わせた合本版です。
感情タグBEST3
江戸末期の浪漫譚
まず、歴史小説としては書き方が現代的であり、非常に読みやすいです。なので若い人でも十分に楽しめます。むしろ若い人向けといえる無いようです。
七夕の織姫と彦星を連想させるような、くノ一の織江と賢い変わり者の彦馬。お互い再会を願いながらも、くノ一という過酷な運命を背負って孤独に戦い続ける織江、それを一途に追い続ける彦馬。ロマンチックでもあり、ドラマチックでもあり、悲劇も喜劇もありの恋物語です。
そこに彦馬の上司でもある松浦静山のスケールの大きな野望が絡んでくるので、壮大な歴史小説ともなっています。
そして実在の人物である松浦静山と彼が実際に記した甲子夜話も、物語の重要な鍵となっており、これらへの興味も掻き立てられます。