あらすじ
設計事務所で働く縞岡は、婚約者と訪ねたマンションの内覧会で、十年ぶりに雨宮那智、アマチと再会した。十六から十七にかけてのふたりの時間は、北の地の短い夏のような輝きがあった。
長い空白の時間を越えて、再会したときから、縞岡はアマチに触れたくてたまらなくなった。那智はシマが恋しくてたまらなくなった。会わないほうがいい。でも、会いたい。会いたくて、たまらない──傷つけながら、傷つきながら、恋は深まり……『聖夜』『名前のない色』に書き下ろし『GRAY』を同時収録。
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作家買い
榎田先生らしい 優しいけど、一筋縄ではいかないストーリー。悲しみを知ってる人はやっぱり優しくて 引くことが癖になってる。アマチの過ごした子供時代がそうさせたのは、間違いない。大人になりゲイという孤独に似たような感情も怖かったろう。
でもみんなアマチを愛す。
探すシマもかっこよかった。
みんな娘がいるのが、アマチ目線からみると切ない アマチには作れないから。
Posted by ブクログ
2002年初出の復刻版とのこと。さらに内容は書き下ろし含めて30年という長いスパンで描かれた作品。時事ネタもあり手紙→公衆電話、ポケベル→携帯電話だけとってみても時代の背景にもこだわっているように思える。そもそも今のように誰とでもSNSで繋がっている時代には、ここまで10年ターンでの再会とはならなかったような。
はっきり甘くはない。受けはモブにもやられるし恋人にも手荒なHされてるし心臓に悪い…。攻めはこずるい考え方していてリアルで(誠実ではないけどバカにもなれない)、BLとしては落第点かもしれない、だけどそんな男が20年かけて出した答えは夢見がちな愛ではなく本物だと実感できた。
運命という言葉は安っぽいけど、攻めの婚約者・桃子がいなければ受けとは再会しなかったかもしれないし、娘を授からなかったら今の幸せはなかったかもしれない。受けは不幸に続く不幸だけど、どんな目に合っても純潔なイメージがあるのは、初恋をずっと心に持ち続けてきたからかもしれない。