あらすじ
戦国の世を舞台に紡がれる、幽玄怪異譚。天文二年、戦国時代の大和。筒井の里に住む狭霧には、病をもたらす物の怪を退治する不思議な力が備わっていた。大名に仕える典医である夫、義伯と支え合いながら病者を助けていた狭霧。しかしある日、主君の筒井順興の末子力丸の死を境に、ふたりとその息子鷲王は物の怪のわざわいに見舞われ、やがては筒井氏をめぐる大きな争いへと巻き込まれてゆき――。 第17回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞の短編『典医の女房』に大幅加筆をし、装いも新たに登場!
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Posted by ブクログ
最初は軽いファンタジー物だなって思ってました。
けど、読み進めて行くうちに
怪奇談でありながら
時代背景のしっかりした軸
そこに留まらない深い人物設定と描写。
終盤にかけては、思わず胸が熱くなりました。
続編があったら、読みたいです。
Posted by ブクログ
つい先日、洞ヶ峠に立ち寄ったのだが、洞ヶ峠の筒井順慶のおじいさん、筒井順興の時代が舞台となっている。
戦国時代といえども初期
まだ、筒井、越智、十市などが勢力を争っていた時代の大和が舞台というのも興味深かった
しかも、伝奇もの、女房殿は狐ですやん
・・・そういえば、安倍晴明もお母さんは狐でした
Posted by ブクログ
時は戦国時代。
典医の妻、狭霧には、この世のものとは思えない力がある。
病者についた物の怪が見え、それを調伏する方法がわかるのだ。
それは的確で、夫の仕事の助けになっている。
そんな彼女の元に怪しげな修験者がやってくる。
災いはそれだけではなく、次から次へ彼女を苦しめる出来事が起きるのだ。
彼女はなぜこの力を持ったのか。
修験者の狙いは何か。
第一章から章を重ねるにつれ、狭霧の力は次第に強くなっていき、戦いに巻き込まれていく。
彼女は美しく、強く、そして夫と子を愛した一人の女性だった。
愛する人を守るため、彼女は自らの手を血で染め上げた。
愛しているから話せないことも、助けを求められないことも、その大きさは異なるにせよ、誰しもが経験しているはずだ。
穿った見方をすれば、夫である義伯は愚か者かもしれない。
妻が自分のために苦しみ、悩み、傷ついていることに気づかない。
彼が気付いてさえいれば、狭霧は追い込まれず、幸せをもっと享受できたかもしれない。
しかし、その義伯の愚かさとも見える部分こそが狭霧が安心できる場所であったのかもしれないし、家族と主君、そして自分を守る強さの源であったのかもしれない。
ただ、私にとっては、子の鷲王が不憫でならない。
母は出奔したものと思い、その面影の薄いままであったから。
これが戦国の世なのだ、といえば似たような、いや、それよりはるかに不幸なことは多かったに違いない。
だが、物語の中とはいえ、こう願わずにはいられないのだ、この青年に、春日山の恩寵あらんことを、と。
Posted by ブクログ
戦国時代の大和の国、筒井家に典医として仕える義伯の妻狭霧の物語。
物の怪が見え、退治することもできる狭霧は、夫と共に物の怪がらみの病を治していたが、主家に対する呪詛を祓ううち、戦乱に巻き込まれてゆく。
狭霧の原動力は夫と息子に対する愛のみで、これが全編を通じて貫かれている。殺伐としたシーンも多いが、狭霧の心情が救いになっていて、困難な時代だけに、この一家に幸せになってほしいと心から思わせる力がある物語だった。
Posted by ブクログ
一言で言うと「夫婦愛×伝奇モノ」といったところ。最初から最後までこの軸はブレない。
しかし、1章「典医の女房」(受賞時はこの1章のみの短編)を読んだ時点と最後まで読んだ時点で持つ印象は変わってくる・・・いや、変わってないけど変わってるというか。うまく言葉に出来ないのが悔しい。
狭霧は怪奇を視ることができる不思議な力を持っていて、夫と二人で怪異によって病んだ患者治療するという話。しかし、ある患者からだんだん大名同士の争いに発展していく。
最後は感動の終章で締められている。若干どうしてこうなった/(^o^)\と思わなくもないが、感動というからには感動です。
主君である順興がなかなかの曲者だった。夫婦の理解者にも見えるし、やはり大名なんだなと思うところもあり(←ここ超語彙不足で申し訳ない)
Posted by ブクログ
時は戦国。不思議な力を持つ狭霧は典医の夫とともに病人を助けていたが、主君の子を看病の甲斐なく死なせてしまう。ふたりは物怪に見舞われ、やがて国を揺るがす陰謀に巻き込まれていく。ふたりの夫婦愛がよかった!派手ではなくともじーんとくる物語。
Posted by ブクログ
これは電撃でなく、MW向きだ。
情報が整理されていて読みやすい上、語り口がよくて、さくさく読める。
場面場面のひきもあって、次々ページをめくっちゃう本でした。
Posted by ブクログ
本屋で見つけて衝動買いした一冊。歴史や妖という響きに弱いもので...
空気感からしてもう戦国。歴史の波に抗えない人間の葛藤や、時の流れの非情さ、歴史物ならではの無常観のようなものがうまく書かれていたように思います。
登場人物の関係がちょっと分かりにくいと感じたので☆-1。
終わり方や文章の感じが好きでした。
これがデビュー作ということなので、これからが楽しみな作家さんです。
Posted by ブクログ
タイトルと表紙の感じから、ホラーなのかなぁと予想し
手に取った1冊。
戦国時代の典医夫婦を描いた和製ファンタジーだった。
ホラー小説ではなかったけれど、これはこれで面白かった。
人の病に憑く物の怪を見ることが出来る、妻の狭霧。
その力を使って夫の仕事を手助けしているのだが、
ある日、狭霧自身も知らなかった秘密が暴かれる。
伝奇好きとしては、呪術部分をもっとガッツリ書いて欲しかったけれど、
軽く読むにはこのくらいがちょいど良いのだろうな。
Posted by ブクログ
戦国時代ものの和風ファンタジー。
神の御使い、呪詛なんかが出てくる。
戦国時代だと殺伐とした戦の話になるかと思いきや、主君の筒井順興が、家臣思いの良い殿さまで良かった。
もう少し、深く掘り下げた話だと、もっと良かったな。
結局は、呪詛よりも、戦よりも、エロ行者に全ての幸せを壊された感じ。
Posted by ブクログ
戦国時代好きなので購入。筒井順興さんって聞いたことあるかもと思って調べたら実在する武将さんでした。時代小説ではありましたがセリフなどはそこまでコテコテの武士語?ではなかったので単語さえ知ってればスラスラ読めます。物語は順興さんの典医(城勤めのお医者さんみたいな人)の義伯さんとその妻の狭霧さんのお話です。どちらかというと狭霧さんに重点を置いていたと思います。狭霧さんは物心ついた頃から妖怪とか普通の人には見えていない何かが見えていましたが義伯さんは見えない。でも普通の病は診れる。文中にもありましたが2人は荷車の車輪のようなもの(どちらも欠けてはならない)というのがよくわかりました。後半呪詛とか話が妖怪だけでは治らない感じになりましたが最後はハッピーエンドなのかな。2人の子供の鷲王がかっこよかったです。
h27.7.10